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【刹那/洞窟】

そっ、と彼の様子をうかがう。どうやら怒ってはいないらしい。それどころか微笑んでいる。それも嘲笑するような笑みではなく、ある種の可憐さを感じさせるような微笑みである。とりあえず地雷を踏んだ、ということは無さそうだ。ほっと息を吐きつつ、彼の言葉に耳を傾けて

「へ……変、でしょうか。宵さんが男性といっても、中性的ですし……俺は、似合うと思いますよ」

相手の発した“変”を、男なのにメイクするなんておかしいといったような、性別としての括りだと捉えたのだろう。気持ちは分からなくもないけどと言いたげに僅かに眉間に皺を寄せながら、そう呟くように言い。わざわざ無理強いはしないけれど、彼は顔が整っているしもし仮にメイクが初めてであったとしても、そう悪い出来にはならない筈であろう。

「それに俺も、いつもメイクしてますし……今はほとんど落ちてますけど」

と、相手が自分の性別を勘違いしていることなど知らない為、相手が自分のことを男だと認識している前提でそう付け加えるように述べる。まぁ、今は俺を飲み込んだあの波のせいでほぼ落ちてるけど。そう思いながら、そばかすがあるであろう付近を指先で軽くなぞって