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>>19／心さん

　「ありがとうございます……」と小声で呟き深呼吸をした実鈴を隆良は温かみのある瞳で優しく見つめた。良かったと心から思ったのだ。

　自己紹介をさせてくれないかと申し出たら又もやショックを受けたように「すみません」と言いながら目を伏せる実鈴を慰めたくなった。こんなオレの表情一つでそんな顔をするのかと優しい子なのだろうと直感的に隆良は思う。
隆良、と名乗り終わりこくこくと頷く実鈴を見つめ思わず撫でてしまいそうになり、手を慌てて引っ込める。

　「えっ、と……ここは。その、私、隆良さんとお話がしたい……と思ったんです。人と話すのというか、自分のこと言うのがすっごく苦手で……練習、というか」
腹の底から絞り出したようなか細い声に心配になる。放っておけないと思い、「分かった、手伝うよ！」とにかっと笑って見せた。少しだけでもこの子を安心させたいと。
　「オレも独り暮らし初めて寂しかったし、いっぱいきみとなら話したいって思ったからさぁ！」そう言って手を差し伸べて。