オリジナルなりきり掲示板

Re: 徒桜バーコード【〆切り】 ( No.37 )
日時: 2021/01/14 21:24
名前: ヨモツカミ (ID: L0JcGsyJ)

黒さんには雑談で返した通りなので、よろしくお願いします!
***

紫月さん >>35続き

「………嫌だね、名前は僕にとって大切で特別な宝物なんだよ……って言いたいところなんだけど不便なんでしょ? いいよ、与えて」

 一瞬拒絶されて、そんなことを言われるなんて予想もしていなかったから、エルファバは目を瞬かせた。
 けれど、渋々といった様子で承諾されて、ああ、この子を簡単に手懐けることは難しいな、と思わず笑った。

「嫌がられるなんて思ってなかったから、ちょっとビックリしちゃった。……ふふ。そういうところも含めて、あなたでよかった、かな」

 最終的には〈能力〉で脅せば、子供の心なんて自由に動かせる。恐怖と生存本能に抗える者はそう多くない。しかし、恐怖による支配で彼を動かそうとするほど、自分は“死神”に成り果ててはいない、と思う。最終手段として、それを選択することもできるが、そんなことをする自分のことを想像したくはなかったし、なによりも、そんなエルファバを見たロストに、もしかしたら見損なわれる。それは──嫌、だった。
 ロストがエルファバのことをどう思っているかはよく知らないが、彼女はエルファバと共に行動する理由を失ったとき、1人で生きていく力があるから。繋ぎ止める理由が無くなったとき、ロストという──チカラを。失う可能性がある。……それは、困るのだ。
 ──あれ。なんで困るのだろう。
 駒なんていくらでも替えがきくのに?
 優秀な駒を育て直すのが大変だから……?
 ──そうじゃない。私にとって、ロストちゃんは……あれ。あれ。この気持ちは、なんだ。違う、私は。違う。私は“死神”だから。だから?
 ロストに対して、一瞬危惧した想定も。この少年を駒として利用しようという計画の中の、最終手段を拒んだのも。そんなのは、自分らしくない。エルファバ、らしくない。“死神”らしくない……。

「……、……」

 思考が乱れかけたとき、不意に察知した敵意に、少女の意識が引き戻される。
 そういえば、この少年を捕らえるため、もしくは殺すために、施設のヒトが動いているのだっけ。
 ふう、と息を吐きながら遠くを見据える。

「その前に、“お片付け”しなくちゃいけないね」

 熟練の戦闘経験から、この場の誰よりも早く気配を悟ることができたエルファバ。だが、ロストもまた、少女に引けを取らない程度に高等な戦闘経験を持っている。直ぐにエルファバの言葉の意味を理解すると、殺意の刃を研ぎ済ませて、標的の場所を探る。

「そうですね。では、いつも通りワタシが、」
「ちょっと1人になりたい気分なの。私がやるからロストちゃんは先に帰ってて。この子の手当てとかその他諸々よろしく」
「えっ」

 ロストの言葉を遮って言いたいことを伝えきると、エルファバは標的の方向へと歩き始める。
 放心しているロストを他所に、エルファバはちらりと少年の顔を見て、楽しそうに笑いかけた。

「あなたの名前、考えておくから。ロストちゃんと仲良くするんだよ? じゃ、行ってきまーす」
「ちょっ……こんな奴と2人きりにされても困ります! 聞いてます!? 聞けって! ……ああ、もう!」

 ロストの声を無視して去っていったエルファバ。その背中が見えなくなると、ロストは本気で困惑した様子で、少年の顔に視線を落とした。視線、と言っても、目元を黒い布で被っているので、少年にはよくわからないだろうが。
 ──気まずい。なんだこれ、どうしよう。大人としてワタシから話しかけるべきなのか? しかし、何を言えば……
 ロストの困惑と動揺は、目元を黒い布で隠していて表情が読み取れなくても、明らかなものだった。


***
名前候補、3つ考えてきたんですがどれがいいですかね。
マオ(猫という意味の単語。やはり彼には猫っぽさを感じたし、性格も猫っぽいとこあるので)
シャトン(子猫という意味の単語。今は子猫ちゃんって感じするので、こっちもありだと思う。し、子猫的な愛嬌があると思うので)
スカー(ライオンキングの悪役より。知的で復讐に燃える猫化だし、こういう強い子になってほしい的な願いも込めて)