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Re: 徒桜バーコード【〆切り】 ( No.62 )
日時: 2021/02/04 20:14
名前: 紫月 ◆GKjqe9uLRc (ID: w1UoqX1L)

>>61続き

 森の中にあった古びた小屋に案内され腰を下ろした僕はふ、と一息を吐く。周りを見渡して、眼を細めればやっとあの研究所から逃げきれたのだと不意に実感がわいてくる。こんな怪我を負わせられたがそれも別にどうでも良くなっていた。

 突然、傷口から痛みが走り顔を歪め、目線を下に向ければロストが慣れた手つきで血のあとを拭き取り止血、そして薬や消毒液を塗り込んでいた。
傷にしみる薬や消毒液に「ぁ、う」などと声を漏らしてしまうが自分は生きているのだとまた思えそれもまた涙ぐみそうになる。

 あっと言う間にあれ程あった傷の手当てが終わり眼を瞬かせていれば、
「ふふん。無駄に包帯を消費しすぎることもなく、手際よく熟れた手付きに驚いたか? ミイラ男にでもされるかと思っていたのかもしれないが、ワタシは消毒液も薬も湿布も包帯も無駄に使い過ぎないんだ。勿体無いからな」
とロストは言う。ずばり、と図星を指され何だかバツの悪く感じてしまう。
「……ほんと、きみがこんなにも……手当上手だって思わなかったから、驚いちゃった。その通り」と苦笑交じりに正直言って見て見た目で判断しすぎた……、ごめんと口にする。

 立ち上がったロストに合わせて顔を上げ、暖炉へと眼を開けた。もうもうと火が燃え、小屋内を温かくしている。
手当されたものの体の傷はやはり、痛むがそれよりも久し振りに感じる眠気と言うものが僕を包む込むような感じがする。
今まで居たあの場では眠気何てものはなく、どうやったら脱出できるのか、明日も僕は生きて居られるのか、と不安を抱え朝を迎えていた。眠るなんてこと出来なかった。
命懸けで逃亡したことや、沢山出血したこと、それから溜まりに溜まっていた疲れ、温かいこの部屋のせいで瞼が自然と下がってくる。

 

 そんな時コンコンココンコン、と特殊なノック音が鳴り身を委ねようとしていた眠気はパッと吹き飛ぶ。
「!」
まさか追手がエルファバを倒し、此処にたどり着いたのかと、冷や汗を伝わせれば何だか表情の綻んで見えるロストを見上げ「だ、だれなの……? エルファバ、な訳?」とたどたどしく訊く。