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>>68／続き

　面白いくらいに泣いてぐしゃぐしゃに成った顔も、結局は演技。全部、全部、俺の二言で消えて行った。親を惨殺されて悲しんでも居ない。じゃあ……なんで。
　なんで味方とか、友人とか軽々しく、自分の命の為に使えたんだろうか。
　多分それがヒオウギの恐ろしき所だ。あの直感は間違ってなかったんだなと決着を付けて。
　そのような思考を巡らせている時には目に映る景色はただの背景だった。まさにピントは合っておらず。
　『お前の力量次第だ』と言う言葉を……殺人鬼の放った言葉を真に受けたヒオウギは急に飛び掛かってきて。それをはっきり見ているほどの余裕は無かった。
　受け身の訓練なんかする訳ないし、いくら自分の力であっても急に来られたら対策も何もない。なので特別な事も出来ずに右手をちに付ける。
　おめでとう、どこかでそう思った気がした。