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>>31
【金木犀/アパート】

「…あぁ、なるほど」
相手の言葉を聞きつつ顎に片手を添えると、“匂いを引き立てるために別の匂いをつける”なんて自分には思いつかない手法だな、と感心したように相槌を打って。

「ふーん、そうなんだ」

自分から聞いたもののそこまで興味をそそられるような話ではなかったかもしれないと思えばそう頷きつつ、寝癖が直りこれで用が無くなった為かこの場を去ろうとするも──相手が何かを取り出そうとしているのを鏡越しに視認すれば、椅子に座ったままじっとして相手を待ち


>>32
【金木犀/売り場→アパート】

相手の返答に「間違ってなくて安心したよ」等と言いつつアパートまでの道をしばらく歩き続ける。アパートに着けば、腕に抱えている果物が落ちないように、かつ階段につまづかないように気をつけながら慎重な足取りで階段を登っていき、207号室の扉の前までやって来て

「ん、」

出掛ける前に戸締りしているだろうし、ここは相手にドアを開けてもらうしかないなと思い、そんな短い発声とともに相手の方をチラ見すれば扉の前から少し退いて