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>>35

「ン。何、交代したいの？　そっちが先に掃除しはじめたンだから、そっちのがいいのかと思ってたンだけど。」

　アルマは布袋いっぱいに死体を詰め終えると、それを看守に渡し、アルコールを染み込ませた布で手術台を拭いている。手術台を一拭きしただけでも布が血だらけになり、アルマは布を何度も交換し、うんざりと目を伏せていた。

「なるほど。じゃ、ナギサって呼んであげようね。ファミリーネームの響きがアジアの方のそれに似てるね。そっちの出身？　だからアルマ達の言葉が通じなかったの？」

　掃除ついでの話をしているうちに、血の匂いに薄くアルコールの匂いが混じる。何枚もの布を汚したものの、漸く手術台の掃除を終えたようだ。
　アルマは深く息をつくと、ちらりとあなたを見て「終わった？」と首を傾げて進捗を確認する。