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【中・長文】Survivors【募集継続中】
日時: 2017/12/03 05:44
名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: YaQzuwJ5)

 平和で、退屈で、つまらない日々が一変した日。
 人が人ではなくなり、襲い来るようになった日。
 生き残る道を、真剣に模索しなければならなくなったあの日。

 僕らは、生存者となる為に戦わなければならなくなった。



 ――――

 初めましての方は初めまして。
 間宵蛾と申します。

 ゾンビ物ですが、ホラー要素よりサバイバル要素の方がよっぽど強いかもしれません。

 このスレッドはフィクションです。
 実在する人物、団体、事件等とは一切関係ありません。


>>1 参加者一覧
>>2 決まりごと(ご熟読ください)
>>3 舞台設定等
>>4 募集要項
>>5 人物ファイル

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Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.97 )
日時: 2017/08/25 05:15
名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: i3DscJW2)

【1日目/09:38、(香取 梨香)】

 渚の混乱など知る由もなく、梨香は慎重に、かつ素早く進む。

 梨香は元より親しい者に対してこうしたスキンシップが多いタイプである。
 彼女自身全くの無自覚であるが、中学時代彼女にべったりだった女子生徒が梨香は「その気」があると勘違いしていた程にナチュラルなスキンシップが多い。
 渚とは出会って、というより初めて会話してから一時間も経っていないが、この非常事態だからか、元来のお互いの性格か、兎も角既に彼女には「親しい相手」というに十分な信頼を置いていた。

 技術室の戸の前に辿り着くと、続く渚を手で制し、こっそりと技術室を覗き込んだ。
 戸が開いているということは、誰かが入ったのだ。
 恐らく、梨香達と同じことを考えた誰かが。
 そしてその「誰か」がまだまともで居るとも限らない。
 もしも異常者と化してこの部屋に留まっていたら、この上なく厄介だ。

 しかし、そうした梨香の懸念は杞憂に終わった。
 戸口から見る限り異常者は居らず、恐る恐る入ってみてもやはり異常者の姿もまともな人間の姿もなかった。
 戸口近くに立って室内を見渡し、渚に振り向いて手招きする。

「先客が居たっぽいね」

 室内の棚等には物色したような形跡が見られ、どうやら誰かが工具類をいくらか拝借したようだった。
 幸いにも、二人が目的としていた粘着テープは棚に残っているようだ。

Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.98 )
日時: 2017/08/26 12:04
名前: Hama (ID: SqYHSRj5)

【1日目/09:37、(御薬袋 渚)】

香取がそのような『ナチュラルなスキンシップ』が多く見られるタイプだと知らない渚もまた、香取には『その気』があるのかと勘違い仕始めていた。とは言ってもまだ確信を持つほどの事ではなく、あくまでも『もしかしてそう、なのかな?』というような憶測の範囲を出ない程度だったが。
まあそれは渚の勘違いなのだが、そんな勘違いをしながらも渚は香取に嫌悪感を抱くというようなことはなかった。いやむしろ、『いくらその気がある人だとしても、まさか私なんか選ばれるわけないよね。きっと私の勘違いだね』と持ち前のネガティブから勝手に違う方向性の勘違いをしていた。

そんな暢気な思考もそこそこに、渚は手招きされた通り香取の隣へ歩み寄って技術室の中を確認する。

「うん、もうどこか行っちゃったみたいだけど……」

それが良い事なのか悪い事なのか、渚にはわからなかった。
このような非常事態は出来るだけ団体行動の方がいい気もしたが、人が多ければ多いで対立等のトラブルもある気もした。
そもそも、日常ですら団体行動をしてこなかった渚にそんな判断が出来るはずもなかったのだが。

Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.99 )
日時: 2017/08/27 20:34
名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: A0TwkcQ8)

【1日目/09:42、(香取 梨香)】

「んー、まあ、下手に大所帯よりはいいかもね」

 梨香はどちらかというと少人数の方が良いと考えていた。
 軍隊や警察のように訓練された集団でない限り、統率のとれない大人数は動きが愚鈍なだけの烏合の衆だ。
 それよりは、お互いを信頼出来る数人で行動した方が良い。
 少なくとも今の自分と渚の二人きりという状況は、中学時代を思い出すこともあるがその分行動しやすい気がしていた。

 梨香は棚から粘着テープを取り出し、その他にも金槌やハンドドリル、バール等の役立ちそうな工具類をかき集め、机に並べていった。
 そして厚手の袋を二つ見つけてくると、これまた机に置いて渚に向き直る。

「これ、詰めて。私はこれ作っちゃうから。棒と包丁貸して」

 そう言いながら、ブレザーのポケットから自分の包丁を取り出し自在箒の柄の先端に包丁の柄を合わせる。
 このまま粘着テープで接続すればただの棒と包丁が槍に早変わりだ。

Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.100 )
日時: 2017/08/27 21:41
名前: Hama (ID: SqYHSRj5)

【1日目/09:44、(御薬袋 渚)】

確かに、考えてみると香取が言ったように渚も大所帯よりは今の方がいい気がした。
まあそれは香取のような合理的な理由によるものではなく、単純に知らない大勢の人と行動するより信頼できる香取と二人で行動したほうが安心できるという理由からであったが。
そんな事を考えながら道具を集める香取をじっと見ていたが、向き直り声を掛けられるとサッとした動きでポケットに入れていた包丁と持っていた棒をテーブルの上へ置いた。
置くとすぐ言われた通り、袋二つに工具等を詰め始める。

渚が言われるまで行動できず香取の様子をじっと見ているのは、彼女が自身に対して異常なまでに自信がない事に起因する。やるべきことが全く分からないわけではないが、果たしてそれをすることによって邪魔にならないかという心配が渚にはあるのだ。

Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.101 )
日時: 2017/08/28 04:25
名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: A0TwkcQ8)

【1日目/09:45、(香取 梨香)】

 テープを引っ張り、棒の先端に包丁を巻きつけながら、ちらりと渚を観察する。
 やはり、自発的には行動しないが、指示を出せばすぐに実行してくれる。
 この子とならやっていけそうだ、と思いつつ、一本目の槍を手早く仕立て上げ、次の棒と包丁を接続する。

 二人の作業が終わったのはほぼ同時であった。
 完成した槍の片方を渚に差し出し、二つの袋の片方を手に取る。

「次はどうしよっか? 取り敢えず学校から出て街の方行ってみる?」

 騒動が始まって一時間。
 思えば騒動の始まりは全校朝礼中に「外から」異常者がやってきたことだ。
 つまり外にも異常者は居ることになる。
 一方、この学校内も異常者で溢れ返り、早いところ救助でもしてもらわない限りはいつか自分達も異常者の仲間入りを果たすことになるだろう。
 そう考えれば、自分達の方から外へ打って出る方が合理的に思われた。

Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.102 )
日時: 2017/08/31 21:22
名前: Hama (ID: SqYHSRj5)

【1日目/09:46、(御薬袋 渚)】

差し出された片方の手製の槍を受け取りつつ、渚は香取からの言葉を受けて思考を開始する。
学校に籠城するという選択肢も無い訳ではない気がしたが、それほど信頼のおける安全地帯もない以上優先度は低い。仮に安全地帯――シェルターのようなものがあったとしても、学校という都市や町からのアクセス……つまり救助の手が来る可能性が少ない場所では餓死してしまう危険性も多い。

「私は街に出た方がいい気がする。ここに居ても、助けがくるとは思えないから……。」

持ち前の遠慮がちな雰囲気は相変わらずであるが、槍を両手で持ったまましっかりと香取の目を見据えて言う。

Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.103 )
日時: 2017/09/01 05:32
名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: 8mWgckGw)

【1日目/09:47、(香取 梨香)】

 答えが出た。
 やはり二人となるとこうした選択の決定も早い。
 渚の、案外にしっかりした態度での返答に、梨香は口角を上げた。

「よしっ、じゃあ、外だね。取り敢えず下に降りよう」

 言うが早いか動くが早いか、梨香は渚の手を引いて歩き出す。
 技術室の戸口から廊下を見渡し、音楽室前に居た男子生徒の異常者がまだ音楽室前に居ることを確認すると、そちらとは反対方向――つまり来た道を戻る方を選んだ。
 懸念事項は二階の渡り廊下に居た女子生徒の異常者だが、あれは立ち上がることも出来ず、動きが緩慢なだけでなくリーチも短いので大した脅威ではないだろうと踏んでいた。
 問題はそのまま階段を下った先、一階だ。
 校舎内に逃げた多くの生徒は一階に留まっていた。
 体育館から逃げ出したはいいものの、校舎内でも同じ騒動が広がり始め、体育館と同じように狭い入口に大人数が押し掛けたことは梨香にも容易に想像が出来た。
 そこに居た人間の数が多いということは、逆に言えば異常者の数も多いということだ。

Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.104 )
日時: 2017/09/01 22:07
名前: Hama (ID: SqYHSRj5)

【1日目/09:48、(御薬袋 渚)】

香取の言葉に頷いて、手を引かれるまま香取の背中を追う。
その中でも思考停止で歩いている訳ではなく、役に立つかは否かはさておき渚は頭の中で思考を繰り広げていた。
途中までは香取と同じく問題ないという意見だったが、問題はやはり一階。異常者が殺到しているのであれば正攻法で外に出ることは不可能だ。とは言え、憶測で最悪のケースを考えても実際は――という肩透かし的な展開も無きにしもあらずだ。もっとも、それは希望的観測と言わざると得ないが。
何はともあれ、現状を目で確認してからだ。

とは言っても、一階が異常者で溢れかえっているという考えが頭をよぎってしまったのか、渚は引いてくれている香取の手をほぼ無意識でキュッと握った。

Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.105 )
日時: 2017/09/01 23:47
名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: 8mWgckGw)

【1日目/09:51、(香取 梨香)】

 果たして、二人の想像は正しかった。
 階段を下って二階、腸を引きずりながら這いずる女子生徒の異常者は途中で向きを変えたらしく明後日の方向を向いていた為、全く脅威にならなかった。
 しかし更に下って一階。
 階段から昇降口を見て、梨香は思わず身が硬直した。
 見えるのは4体。
 ……見えるだけで4体。
 柱の先、昇降口の近辺などどんな状況なのか見たくもない。
 向かって右手、職員室や保健室が並ぶ廊下も見えるだけで5体の異常者が居る。
 梨香は頭を抱えたくなった。

「……やっぱ、昇降口から出よう」

 丸々30秒考え、彼女が出した答えはそれだった。
 自分の槍と袋を一時的に持っててほしいと渚に差し出しながら、ポケットから50円硬貨を一枚取り出す。

Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.106 )
日時: 2017/09/02 00:47
名前: Hama (ID: SqYHSRj5)

【1日目/09:52、(御薬袋 渚)】

希望的観測はやはり希望的観測に終わってしまった。
香取だけではなく渚もまた、身体が硬直し思考すらも真っ白となっていた。

『……やっぱ、昇降口から出よう』

その言葉で、渚の思考が戻る。
とはいえ、代案など浮かぶわけもない。思考停止をしていたわけではない。考えても考えても、答えが浮かばなかった。まあ、その間は一瞬ではあるのだが。
だからこそ、渚は香取の言葉に頷き、差し出された槍を受け取った。
流されての行動ではない。香取に身を、命を委ねようと覚悟した。もちろん任せきりになる気はない。渚自身も出来うる限りの事はするつもりだった。たとえ、なんの役にも立てなかったとしても。


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