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- 【中・長文】Survivors【募集継続中】
- 日時: 2017/12/03 05:44
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: YaQzuwJ5)
平和で、退屈で、つまらない日々が一変した日。
人が人ではなくなり、襲い来るようになった日。
生き残る道を、真剣に模索しなければならなくなったあの日。
僕らは、生存者となる為に戦わなければならなくなった。
――――
初めましての方は初めまして。
間宵蛾と申します。
ゾンビ物ですが、ホラー要素よりサバイバル要素の方がよっぽど強いかもしれません。
このスレッドはフィクションです。
実在する人物、団体、事件等とは一切関係ありません。
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- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.77 )
- 日時: 2017/08/14 00:24
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: Wr6tueHl)
【1日目/09:22、(香取 梨香)】
家庭科準備室の廊下側のドアを開けられるか試してみたが、やはり鍵がかかっていて開かない。
被服室に入り、被服室側のドアも試してみたが駄目だった。
調理室側も試してみても良かったが、梨香はいよいよ面倒になり、被服室側のドアを解錠することにした。
ドアノブの前にしゃがみ込み、制服のポケットから携帯電話とヘアピンを取り出す。
本来校則では学校に携帯電話を持ってきてはいけないことになっているが、抜き打ち検査があるだとか、見つかって没収されたら保護者を呼ばれるだとか、そういうこともないので実質形骸化している。
梨香の携帯電話には手で握るのに丁度いいくらいの大きさの丸いキーホルダーのようなものがストラップとしてついており、梨香はそれを携帯電話から外すとその丸いキーホルダー――簡易版のピッキングツールセットの動作を軽く確認する。
続いて梨香は携帯電話を制服のポケットに入れ、そしてポケットから出てきた梨香の手にはヘアピンが摘ままれていた。
そのヘアピンを力ずくで変形させながら、ふと渚を見上げる。
「……私がこんなこと出来るの、ミンナニハナイショダヨ」
おどけて見せ、ドアノブの鍵穴にピッキングツールの一本と変形させたヘアピンを差し込む。
時間にして2分ほどか、暫くカチカチと微かな音が流れていたが、不意にカチンというすっきりした音が鳴った。
梨香はピッキングツールとヘアピンを引き抜き、軽く息を吐きながらゆっくり立ち上がった。
簡単な鍵使ってんなぁ、と心の内で呆れながら、ドアノブを回す。
被服室と家庭科準備室を結ぶドアはあっさりと開き、梨香は満足気に渚にウィンクして見せた。
「ま、こんなもんよ。ここの準備室確か包丁とか冷蔵庫とかあったよね。探そう」
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.78 )
- 日時: 2017/08/14 23:56
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
【1日目/09:22、(御薬袋 渚)】
問題ないって、そう言うこと?
鍵の掛かった扉の前でヘアピンと、何やら丸いキーホルダーを携帯電話から外したのを見て、渚はそう思った。けれど、口には出せない。それはいつもの通り性格に起因しているのも勿論そうだがそれだけではなく、単純に『そんな事本当に出来るの……?』と驚いていた、という事もあった。
『……私がこんなこと出来るの、ミンナニハナイショダヨ』
渚はそれまで驚いた様子で香取の手にする道具を見ていたが、そう言われたところで慌てながらコクコクと頷いた。
それから香取の手際を興味深そうに、それこそ子供が興味のあるものを見るように凝視していた。だが『こうしてるうちに異常者が来たらどうしよう』という考えが頭をよぎり、途中から周囲をキョロキョロと見回し始める。
そうして辺りを見回しながら、たまに香取の手元をチラリと見ている内に鍵からカチンという音が響いた。渚が驚く間もなく香取は立ち上がって、いとも簡単に鍵の掛かっていたドアを開ける。
『ま、こんなもんよ。ここの準備室確か包丁とか冷蔵庫とかあったよね。探そう』
そう言って、香取は自慢気にウインク。
一応無意識に「う、うん。そうだね」と返したが、渚の内心で興奮が巻き上がる。そして話の腰を折るのも悪いとは思ったが、それを抑えることができずに渚の口からは感嘆の声が飛び出した。
「す……っ凄いよ香取さん。あんなのドラマか映画でしか見たことなかった。凄く、凄くカッコいいよ」
先程『興奮』と表現したが、その言葉の通り渚は興奮していた。渚は基本的に『自分(渚)にできないことをする人間』に興奮する事が多い。その点、香取には興奮しっぱなしだった。自分を助けてくれた事もそうだが、頼りになるところや、ましてや魔法のように鍵を開けてしまう香取は、渚にとってとても頼もしく感じ、興奮する対象であった。
とは言っても普段が普段であるので声が大きくなったりという目立った変化はなく、普段と比べれば確かに違うという程度だが。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.79 )
- 日時: 2017/08/14 23:40
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: nJ9riueE)
【1日目/09:25、(香取 梨香)】
渚がやや興奮した様子で感嘆の言葉を口にしたのを聞いて、梨香は自分の耳を疑った。
確かに自分も中学時代、こうした技術を「出来たらかっこいい」くらいの気分で身につけたが、実際に他者からこのように評価されたことはない。
そもそも非行の為に手にした技術を褒められる道理がある筈もないのだ。
まさか自分より遥かに「出来た人間」であるところの大人しめな同級生にこうも感激されるとは思わなかった。
言葉を聞いて梨香は驚いたように振り向いたが、すぐに表情を隠すように家庭科準備室内に顔を向け、自分の頬を指先で軽く掻きながらわざと呆れたような口調で言った。
「……この手の鍵ならやり方覚えてりゃ簡単だよ。それに、そんな、褒められるようなことじゃないし」
要するに、照れていた。
彼女が中学時代に荒れた原因は、親からも教師からも「褒められた経験が極端に少ない」ことに求められる。
そして全てから逃げるように四方津に移ってきてからもこれといって何かをしたわけではない為、誰からも「褒められた経験」がない。
つまり、今のように褒められたことがないので、褒められ慣れていないのだ。
「と、兎に角、さっさと食べ物なり武器なり確保しようよ」
前述のことと、やや声が上ずったことへの若干の羞恥で、紅潮してしまった顔を見られないようにそっぽを向きながら、梨香は家庭科準備室をぐるりと見渡す。
先程まで鍵がかかっていたので当然といえば当然だが、異常者も生存者もなく、誰かが入った形跡もない。
梨香は今顔を見られたくないのと、かなり大雑把に見渡しただけなので気付かなかったようだが、渚のすぐ目の前の棚には未使用で箱に納められたままの包丁のセットが見えた。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.80 )
- 日時: 2017/08/16 20:40
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
【1日目/09:25、(御薬袋 渚)】
渚はこれまで人付き合いを避けてきたため、香取の呆れたような口調やそっぽを向かれた真意などわかるはずもなかった。
なので照れ隠しだなどとは気付く筈もなく、逆に『こんな状況で浮付いた事を窘められた』と渚は受け取る。
「う、うん。そうだね……」
だから、だろうか。そう言う渚から先程の興奮した様子は消え去り、子供が親に注意されたかのようにシュンとしていた。だがそれで不貞腐れるという事はなく、むしろ注意されたことを挽回しようと辺りをキョロキョロと見回した。
すると間もなく箱入りの包丁セットが目に入り、渚はそれを指差す。一応武器としては問題ないはずだが、自分の判断では本当に役に立つかわからなかったためおずおずと言った様子で先を行く香取へ声を掛けた。
「あの、香取さん。これ――」
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.81 )
- 日時: 2017/08/16 02:06
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: Ps.WDliz)
【1日目/09:25、(香取 梨香)】
「ん、何かあった?」
声をかけられ、ふっと振り向く。
まだ少し頬には朱が残っていたが、赤面というほどではなかった。
渚の示す方向を確認し、そこにあるものを見て彼女が自分に話しかけた理由を察する。
「……包丁、だね。新品っぽいけど、予備か何かかな」
遠慮なく棚のガラス戸を開き、箱を取り出す。
どうも購入した時のままらしい。
箱からゆっくりと洋包丁を一本取り出してみると、窓から差し込んだ光に刃がきらりと反射した。
「切れ味は良さそうだけど、あの連中相手にこのリーチは心許ないかな……」
壁の方に「敵」が居るかのように構えてみるが、このままでは柄と刃が短過ぎて素手で戦うのと大した差がない。
仮にこのまま使うとしたら、間合いを間違ったりすれば非常に危険だ。
梨香は少し考え、静かに言った。
「やっぱ棒か何かあったがいいかも」
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.82 )
- 日時: 2017/08/16 21:25
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
【1日目/09:25、(御薬袋 渚)】
渚は、包丁を手にし構えを取ったりする香取の姿をまるで子供のようにじっと見ていた。その姿からはいつも通りのオドオドした様子も感じられるがその他に、子供が大人へ向けるような安心感が見て取れた。
が、香取が発した言葉に渚はハッと我に返り周囲を見回した。
「箒とか、あればいいかな。掃除道具くらい、部屋の隅っこにありそうなものだけど……」
呟くように言いながら、とてとてとした歩みで部屋の隅を調べ始める。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.83 )
- 日時: 2017/08/16 22:05
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: QrFqqwfB)
【1日目/09:26、(香取 梨香)】
見る限り、準備室内にシンクや調理器具を洗浄する為の洗剤類以外に、掃除用具の類は見受けられなかった。
渚も梨香もこの家庭科準備室の掃除当番に当たったことがない為、知る由もなかったのだが、日々の家庭科準備室の清掃は被服室の当番者がやることになっている。
よってこの家庭科準備室には固有の掃除用具というものがなかったのだ。
掃除用具もなく、それ以外にも長い棒のようなものはなさそうであった。
梨香も一通り準備室内を見渡した後、ここに求めるものはないと割り切ったのか包丁を専用の保護ケースに入れるとそのままポケットにしまった。
「……なさそうだね。しゃーなし、箒くらい他の教室でもいくらでもあるよ」
そう言いつつ、冷蔵庫を開く。
一年生の調理実習が近い為か、いくらかの食材はあったが、生の肉や野菜等、いずれも調理せずに食べることは推奨されない上にこのまま冷蔵保存しておかねば傷んでしまうであろうものばかりだった。
唯一、魚肉ソーセージくらいは持っていっても大丈夫そうか。それも長く持ってはいられない。
梨香はため息を吐いた。
「ごめんね、収穫は包丁くらいだわ」
ぱたん、と冷蔵庫の扉を閉めて渚に向き直る。
申し訳なさげな表情を浮かべつつ、渚の肩に手を置き、被服室へと向かうつかつかときっぱりした歩調は「もうこの部屋に用はないから次に行こう」と言わんばかりであった。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.84 )
- 日時: 2017/08/16 23:00
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
【1日目/09:26、(御薬袋 渚)】
探したが、箒はおろか似たようなものすら見当たらない。
目当てのものが無かった事に若干気落ちするが、香取の『箒くらい他の教室でもいくらでもあるよ』という言葉で渚の気分は元へと戻る。そうだ、別に今この瞬間に見つからずともいいではないか。必要な事は必要だが、そこまで切迫はしていない。
それから気分を切り替え、冷蔵庫。
渚も香取の隣で冷蔵庫の中を見たが、彼女でさえも「役に立ちそうなものはない」と認識できるものしか入っていなかった。
「香取さんが謝る事じゃないよ」
いつも通りオドオドした様子ながも今回は何とかそう口に出し、被覆室へと向かう香取の背中を半ば速足で追いかけた。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.85 )
- 日時: 2017/08/17 07:03
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: QrFqqwfB)
【1日目/09:28、(香取 梨香)】
梨香は被服室に入るなりホワイトボード横の掃除用具入れに直行し、中から自在箒を一本取り出した。
普通の箒と違って柄が細長い為、扱いやすいと即座に判断したのだろう。
渚に当たらないよう距離を取って、軽く振ってみたがブラシ部分が重く、バランスが悪いと感じ、ネジを外して柄だけにしてしまう。
そうして手にした長い棒を、一本目はまず渚に差し出した。
「ん、これ持っといて」
空いた方の手には、既に掃除用具入れから次の自在箒を手にしている。
包丁をつけようにも今度は固定する道具がない為、取り敢えずこの場ではこの箒の柄を2人分確保することだけに絞ることにしたらしい。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.86 )
- 日時: 2017/08/18 00:07
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
【1日目/09:28、(御薬袋 渚)】
「う、うん」
香取の作業をじっと見ていたこともあり、渚は半ば慌てた様子で差し出された長い棒――自在箒の柄だったものを受け取った。
自慢ではないが渚は行動はもちろん思考が遅い。だからこそ香取のテキパキとした動きに見惚れてさえいた。『こんな非常事態なのにどうして慌てずに行動できるんだろう』と。
とは言ってもやはり口には出せないのだが。
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