オリジナルなりきり掲示板
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 【中・長文】Survivors【募集継続中】
- 日時: 2017/12/03 05:44
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: YaQzuwJ5)
平和で、退屈で、つまらない日々が一変した日。
人が人ではなくなり、襲い来るようになった日。
生き残る道を、真剣に模索しなければならなくなったあの日。
僕らは、生存者となる為に戦わなければならなくなった。
――――
初めましての方は初めまして。
間宵蛾と申します。
ゾンビ物ですが、ホラー要素よりサバイバル要素の方がよっぽど強いかもしれません。
このスレッドはフィクションです。
実在する人物、団体、事件等とは一切関係ありません。
>>1 参加者一覧
>>2 決まりごと(ご熟読ください)
>>3 舞台設定等
>>4 募集要項
>>5 人物ファイル
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.67 )
- 日時: 2017/08/09 06:55
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: ftQm2bwY)
>>66
ご投稿ありがとうございます。
特に不備も見受けられないので登録させていただきます。
勝手ながら先に始めさせていただきますね
【1日目/09:16、(香取 梨香)】
2年1組の女子生徒、香取梨香は困り果てていた。
現在位置は教室棟2階、2年生の教室が並ぶ廊下だ。
体育館でのパニックをなんとか抜け出したのはいい。
校舎に入った者、すぐに外に逃げた者と分かれ、校舎内が案外と静かになったのもいい。
しかし、問題は校舎の方も体育館をパニックに陥れたのと同類の異常者どもが歩き回っていることだ。
どうもあの異常者どもは機敏な動きが出来るようには見えない為、体育館から直接歩いてきたというよりは噛まれた者がこっちに来てから異常者となったのだろうか。
いずれにせよ、今彼女の前に立っている1人の、元々男子生徒であったらしき異常者は、廊下のど真ん中に突っ立っており、どう考えても彼女の進路を妨害している。
念のため柱に身を隠しつつ、観察してみてはいるが、このまま日が暮れるまで待っていても何かしない限り退いてはくれなさそうだ。
「……?」
梨香が手近にあった、誰かのランニングシューズでも投げつけてみようかと思っていた時だった。
2年4組の教室の戸がゆっくりと開き、件の異常者がその音にぴくりと反応してゆっくりとそちらに向き直った。
梨香も開いた教室の戸を凝視する。
肩につくかつかないか程度の黒髪と、後ろから見てもきっちり着ているらしいと分かる制服に身を包んだ小柄で細身な女子生徒の後ろ姿が、廊下の向こう側をそっと覗きこんで確認している。
さっきまでのこの廊下も喧騒に包まれていたから、それが収まった今出てきてみたといったところか。
廊下の様子を確認して、何も居ないことから一安心したところだろうか、その後ろ姿にのたのたと迫る異常者に気付く素振りはない。
梨香は思わず投げようと手にしていたランニングシューズを2年4組の教室の廊下側の窓に向かって投げつけた。
斜めの角度から窓に突入したランニングシューズは、ガチャン、と音を立てつつも窓にひびを入れるも弾かれ、件の女子生徒のすぐ後ろに小さな音を立てて落下した。
異常者の歩みはぴたりと止まり、ひびの入った窓の方に顔が向けられたが、女子生徒との距離はあと3メートルといったところだ。
(やっちまった――)
梨香は自分の投擲のコントロールのなさを心底後悔した。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.68 )
- 日時: 2017/08/09 21:08
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
【1日目/09:16、(御薬袋 渚)】
まるで映画のような騒動があって、暫く経った。
渚は無我夢中で体育館から逃げ出したはいいが、それからどこに行けばいいかわからず、とりあえず自分の荷物がある教室に戻って来ていた。が、状況は相変わらずどこに行けばいいかわからないままだ。
そんな渚は、言いようのない不安感に襲われていた。彼女は元々自分に自信がある人間ではないし、何より今教室には彼女の他に人間が誰一人として居ない。つまり、頼れるのは自信のない自分だけ、という事。そんな現状に、彼女は恐怖していた。
誰か、誰かと合流しないと――
そんな感情が溢れ出すが、途端に疑問が浮かぶ。『誰かって誰だ』と。
彼女は苦手な友達付き合いというものを放棄して、ただただ走っていた。そんな彼女に友人と言えるような人間はいないし、こんな何が起こっているかもわからない非常事態に一緒になって行動してくれる人間なんて望むべくもないだろう、と。
ただでさえ恐怖しているというのに、さらに気分が沈む。とは言えずっとここに居ては駄目なことくらいは理解できた。外も先程まで危険な音がしていたが、今はだいぶ静かになっている。出るなら、今だろう。
彼女は重い体に鞭打って、教室の前部にある戸を開けひょっこりと顔を出す。
暫く、たっぷり時間を掛けて危険が無いか確認していた。がそんな時背後からガラスが割れるような音が聞こえ反射的に顔をそちらへ向ける。
端的に言うと、自分が逃げるべき対象がそこに、すぐ後ろにいた。だが彼女は見逃さなかった。そのさらに後ろに、見知った顔の少女が居ることを。
そうは言っても、話したことなんてほとんど無いし、クラスすら別。知り合いと言えるかすら怪しい。だが、異常者と自分の間に転がっている片方だけのシューズが、『彼女が私を助けてくれた』ように思えた。現に、ガラスが割れるような音がしなければ、多分、いや確実に背後の異常者に襲われていただろう。
逃げるならば、追いつかれる前に教室を飛び出して走り出せば事足りるだろう。だがそれでは、助けてくれた彼女と合流することが出来ない。それは嫌だった。渚は、自分を助けてくれた彼女と行動を共にしたいと思っていた。
とはいえ、合流するには異常者の横をすり抜けなければならない。いくらなんでもそれは危険すぎると自覚できたので却下。
そうこうしている内にも異常者がのたのたと迫ってきている。そんな時、渚の頭に妙案が浮かぶ。まさしく稲妻のように浮かんだ。
後ろの方の戸から出ればいいじゃない
浮かんでからの行動は早かった。
彼女は戸も閉めずに身を翻すと一気に駆け出し、後ろの戸へと到達。それから極力音を立てないように戸を開けるとまた駆け出した。
自分を助けてくれた彼女の元へ――。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.69 )
- 日時: 2017/08/09 21:42
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: Vgvn23wn)
【1日目/09:16、(香取 梨香)】
音に反応して振り向いた女子生徒の顔は見覚えがあった。
4組の、やたらと足の速い、名前は何だったか。
兎も角、まともな人間で、こちらに気付いた様子で、しかもとっさの判断で教室内を通って後ろから出てくることによって異常者を回避するというファインプレーまで見せてくれた、きっと今後役に立つであろう人材だ。
異常者を出し抜いて駆けてきた女子生徒の手を取って、両手で包み込むように握手し、肩を抱き寄せ合流を静かに喜び合い――
いや、こんなことをしている場合ではないとすぐに我に返ると、梨香は次なる行動に移った。
取り敢えず抱き寄せた拍子に相手の名前も思い出したので強ち無駄ではなかったと自分に言い聞かせながら、小さく咳払いして「移動しよう」とジェスチャーする。
目指すは特別教室棟。
理科室や家庭科室、技術室なら何か役立つものがあるに違いないというのが梨香の見立てだった。
先程の異常者は未だ前の戸の周囲をうろうろしている。
どうも知能も相当後退しているのが見て取れ、目的地に辿り着くまでに出くわしても、数が多かったりしない限りは今のように出し抜くのは簡単だろう。
梨香はそっと立ち上がり、女子生徒――御薬袋渚の手を引いて歩き出す。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.70 )
- 日時: 2017/08/09 22:33
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
【1日目/09:16、(御薬袋 渚)】
走りながら背後をチラリと確認したが、異常者がこちらを追ってくるような事はなく、先ほどまで自分が居た場所に向かってのたのたと進んでいた。
その状況に、そして助けてくれた彼女と肩を組み手を合わせられた事に心底安堵し、普段はほぼ例外なく暗い表情からも、今はそれが感じ取れる程だった。
それから彼女の『移動しよう』というジェスチャーを何とか理解してコクコクと頷くと、渚は彼女に手を引かれて歩き出した。
お礼や、彼女の名前など聞きたい事や言いたい事はあったが、そんな状況ではないという事と、元々の渚の性格によって言い出すことは出来ず、ただただ手を引かれて歩いた。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.71 )
- 日時: 2017/08/10 21:59
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: cgqky8aQ)
【1日目/09:18、(香取 梨香)】
至るところに血痕や肉片や服の切れ端が見られる凄惨な廊下を少し歩いたところで、二人は新たな問題に直面した。
特別教室棟へは渡り廊下を通ればすぐだが、その渡り廊下で、床に横たわる女子生徒の腹部に別の女子生徒が喰らい付いていたのだ。
横たわっている方は二人にとって見覚えのある、2年4組の生徒だが、彼女の腸を引きずり出して貪っている方は顔がよく見えず、判別できない。
いずれにせよ、異常者であることは確からしいが、よく見ると喰われている女子生徒はびくびくと痙攣しており、虚ろな瞳が二人を見据えて時々きょろきょろ動いている。
「……生きてる」
生きている。
が、それだけだ。
助けようもないことは火を見るより明らかだった。
梨香は人差し指を自分の唇に当て、そっと異常者の横をすり抜けることを手で示し、実際に足音を立てないよう慎重な足取りで歩き始めた。
足元のバケツをすっと避け、自分の続くよう手で示す。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.72 )
- 日時: 2017/08/11 23:03
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
【1日目/09:18、(御薬袋 渚)】
「ヒッ……」
惨状を目にした渚の口から思わず、限りなく悲鳴に近い息が小さく漏れたが反射的に片手で口を押え込む。
二人の事は、いや、食われている女性との方なんて顔も見えないから誰かもわからなかったが、それでも渚は理由もわからない罪悪感を感じていた。
渚は自分のそんな感情に気づかない振りをして、助けてくれた少女のジェスチャーに口を押えたまままたコクコクと頷いた。
その少女が足元のバケツをスッと避けたところで、『これがB級ホラー映画だったら、私がバケツを蹴って危機的状況になるところだよね……』なんて考えたくもない事が頭をよぎり、小さくかぶりを振って否定した。
先に行った少女に示されたように、慎重に歩を進める。一歩一歩静かに、けれど着実に。そうしてバケツの前に来た時に先程考えたことがまた頭をよぎったの数舜だけフリーズしたが、意を決したように足を踏み出した。
その時、足にバケツが触れ――
なんて事はなく、渚は無事バケツを避けた。バケツを蹴るだなんてヘマをしなかったことに、渚は人知れず安堵していた。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.73 )
- 日時: 2017/08/12 05:48
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: /7b9bPFg)
【1日目/09:19、(香取 梨香)】
よしよし、順調だ。
足元のバケツを伝え忘れたのは自分の伝達ミスだが、渚は自分で気付いて避けてくれた。
つくづく自分も焦ってるな、と思いつつ、特別教室棟に辿り着く。
角で出くわすのが一番危険なので、柱の陰に隠れ、廊下を見渡す。
「誰も……何も居ないな」
廊下には血痕や肉片こそ見えるが、普通の人間の姿も異常者の姿もない。
奥から理科室、理科準備室、調理室、家庭科準備室、被服室、美術室。
全て戸が閉まっており、中の様子は窺えない。
だが、これまでの異常者の行動から察するに、彼らに戸を閉めるような知性はないだろうから、各特別教室の中に異常者が居る可能性は低いだろう。
先程通り抜けた渡り廊下を振り向いてまだ女子生徒の異常者が別の女子生徒の腹部を貪っているのを一瞥し、渚の手を引いてそっと角を曲がる。
ついさっき確認した通り、特別教室棟はそこまで危険そうではなかった。
一息つき、渚の方に向き直る。
「……ふぅ。取り敢えず、ここは大丈夫そうだね。さっきはありがとね、えーと、御薬袋?」
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.74 )
- 日時: 2017/08/12 22:49
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
【1日目/09:19、(御薬袋 渚)】
渚は手を引かれるまま、角を曲がる。
渚にはあまり論理的な思考が出来ないため、『異常者は扉を閉めるような知能はないから、扉が閉まっている今は多少安心してもいいだろう』というような裏付けのある現状確認はすることが出来ない。
だから単に、角を曲がった先に異常者が居ないという事に対して安堵の息を吐いた。
そして、話しかけてくれた彼女に、若干オドオドした様子を見せながらも言葉を返す。
「う、うん。御薬袋……御薬袋渚。クラスが違うのに知っててくれたんだ。」
そこまで言った所で渚は申し訳なさそうに顔を少し伏せて
「でもごめんなさい、私覚え悪くてあなたの名前が……。」
渚の内心では『こちらこそ本当にありがとう。貴方が気付かせてくれなかったら、私もさっきの子みたいに食べられてた』や『私、お礼を言われるような事できてないと思うんだけど』といったいろいろな言葉が渦巻いていたが、渚が持つ性格の関係して口に出すことが出来なかった。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.75 )
- 日時: 2017/08/13 04:34
- 名前: 間宵蛾 ◆d.b5UMeNLA (ID: Wr6tueHl)
【1日目/09:19、(香取 梨香)】
「あー、まぁね……」
梨香はスポーツに詳しいわけではないが、(少なくとも1万メートルに於いては)アジア最速の少女が同じ学校の同級生となると流石に知らないでいようもないし、忘れようもない。
対する自分は中学時代は喧嘩に明け暮れていただけのどうしようもないロクデナシである。
渚に顔を覚えられていただけでも驚きだった。
「香取だよ。香取 梨香。改めてよろしくね、御薬袋」
申し訳なさげに俯く渚の頬にそっと手を触れ、励ますように軽く撫でるながら顔を上げさせる。
ふっと出た動作だったが、どこか懐かしさを感じ、そういえばこれは中学時代に自分にいつもついてきていた女子生徒によくしていたことだったなと思い出した。
その女子生徒と渚は、容姿は似ても似つかないが、身長は同じくらいだし、態度もどことなく似ている。
どうやらいつの間にか重ねていたらしいと、梨香は心の中で自嘲した。
「取り敢えず、まず家庭科準備室に行ってみようか。多分鍵かかってるけど、それは今更問題じゃないし」
そう、問題ない。
流石に金庫破りなんかは出来ないが、電子ロックでもない限りは大抵の鍵はピッキングで解錠出来る。
その程度には中学時代に大分慣らした。
折角真面目になったのに、どんどんあの頃に回帰していくな、とまた密かに自嘲する。
梨香はまた渚の手を取ると、一応周囲に注意を払いながら歩き出した。
- Re: 【中・長文】Survivors【始動】 ( No.76 )
- 日時: 2017/08/13 22:48
- 名前: Hama (ID: SqYHSRj5)
【1日目/09:19、(御薬袋 渚)】
「こ、こちらこそ。その――香取、さん。」
頬に触れられた事にほんの少しだけ驚いて、渚はその体をビクリと小さく震わせる。そのため言葉の言い始めがまたどもってしまったが、言い切っただけ上等だろう。
ちなみにだが、身体を震わせたのは眼前の少女を――香取を恐れているからという訳ではなく単純に憶病な渚の性格に起因する。渚は人付き合いをから離れている関係で『香取が中学時代荒れていた』という情報すら知らないため、香取を恐れる理由など何処にもなかった。むしろ恐れるどころか、不安でどうしようもない状況下に置かれている今、香取に触れられて安堵すらしていた。
そうして渚は香取の言葉に小さく頷いて、引かれるまま歩き出した。
『鍵がかかっているのは問題なのではないか』という言葉が渚の内心に浮かぶが、『問題ではない』と断言した相手に尋ねるということは、渚にはできない事だった。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13
総合掲示板
小説投稿掲示板
イラスト投稿掲示板
過去ログ倉庫
その他掲示板
スポンサード リンク