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かみさまのラルム【参加者募集】
日時: 2018/10/18 21:36
名前: ゆきしま ◆BV.fqgxxRU (ID: ejYHSi8p)

――――その島に聳え立つは三つの塔。





――――ねえ、私達って何なのかしら。
















――――知らないってば、僕だって分からないんだから。


【募集開始】


>>1 【序章】
>>2 【世界観】
>>3 【用語、エリア】
>>4 【名簿、キャラ作成シート】
>>5 【ルール】


スレッド建設日 【2017/07/15】

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Re: 【中文推奨】かみさまのラルム【参加者募集】 ( No.56 )
日時: 2018/01/19 22:49
名前: ゆきしま ◆BV.fqgxxRU (ID: uI2pxZHD)

>>55

【始めまして。参加希望大変嬉しく思います。あの人枠是非お願いしたいです。設定についてはリク・依頼掲示板にて作成してあります、かみさまのラルム専用のスレで行いたいのですがよろしいでしょうか? 見つけやすいようにあげてありますのでどうぞよろしくお願いします。】

Re: 【中文推奨】かみさまのラルム【参加者募集】 ( No.57 )
日時: 2018/01/21 21:52
名前: 宝治  ◆wpAuSLRmwo (ID: fQkNQwJA)

【キャラ作成シート】
「僕はゼフィール。西の風という意味さ。気まぐれで人騒がせな、いたずら者の風なのさ」
「島の外は苦しいことや悲しいことに満ちているけど、きっと退屈しないと思うんだ」

名前 【ゼフィール】
年齢 【5121】
性別 【男】
性格 【天邪鬼な男の子。なんでもそれなりに上手くこなせる反面、突出した分野がない器用貧乏。何より刺激を求めており、この島の外について想像するのが好き。
世界は危険で刺激的だと思っているし、包丁を料理以外の目的で使うことも、銃がどれだけ恐ろしい武器かもよく知っている。姉を慕っているけれど、世界で一番好きだなんて絶対に言わない。】
容姿 【無造作な印象の短髪。身長160㎝ 体重46㎏ 服装にこだわりはなく機能性を重視する。でも黒皮でできた編み上げのブーツだけはお気に入り。年がら年中それを履いて外を出歩く】
所属する塔 【青の塔】
生まれた月 【冬の月】
誕生エリア 【赤の鐘台】
備考 【一人称は僕。青の氷原の監督者。ヴェールニルの弟。でもなぜか兄貴ぶるし、何かにつけて突き放した態度をとる。一緒にいると危なっかしい姉のフォローにかかりっきりになるので、同じ家に住む提案には5000年単位で拒否している。島の外のことをとても興味深く思っており、短い命を輝く人間に憧れを持っている。】
募集 【一緒に無茶してくれる悪友】

カラー参照:(参照URLに貼ったら長すぎると怒られたのでこちらに)
http://pluscolorn.sub.jp/random.php?1id=2312
R150 G125 B250

Re: 【中文推奨】かみさまのラルム【参加者募集】 ( No.58 )
日時: 2018/01/21 21:57
名前: 宝治  ◆wpAuSLRmwo (ID: fQkNQwJA)

【青の氷原/ゼフィール】

雪がほとほとと落ち続けている。
昼の間わずかに差し込んだ陽の光は瞬く間に厚い雲に遮られ、辺りは心に沁みる静寂さと生を奪う冷たさで満たされゆく。
ゼフィールは手頃な氷塊に腰かけて、先ほど切り出されたばかりの巨大な氷柱が作業者達に引きずられてゆく様をぼんやりと眺めていた。
――あれは、気泡が閉じ込められておらず、ひび割れも見当たらず、素晴らしい状態を保った氷柱だった。きっと良い値で売れるだろう。
氷柱は一旦倉庫に保存され、機を見計らって貿易商と共に船で海を渡り、ローズナ大陸にて卸される。作った金はそのまま大陸で肉と穀物に替えられこの島へと戻ってくる。
ただの氷のかたまりがディナーになって自分のテーブルの上まで這いあがるというのは、よく考えればどこか滑稽な気がした。

ゼフィールはここで監督者をしている。
監督というと何か小難しくて責任の重い役職な印象があるけれど、実のところはそうでもなくて、無限に広がる氷原の白さを眺めて日がな一日あくびを浮かべることが主な役目である。
仕事らしい仕事といえば、せいぜい氷柱を切り出すエリアの指定と得られたモノの品定めくらいだ。その他定常時の判断は作業者各自に委ねている。
なんせ何千年も何万年も氷を切り出す作業に従事している彼らである。今更ゼフィールが張りきったところで何かが変わるわけでもないのだ。
必要なのは寒さを厭わない無頓着さと、氷柱に不必要な思い入れをしない無関心な心。それがあれば誰だってここで監督者になれるだろう。

横たわる無数の氷柱に向かって、ゼフィールは時々こうつぶやくことがある。

「はやく溶けてしまえ」

ここまで無関心なのは珍しい部類なのかもしれないが、彼にも彼なりに思うところはあるのだ。
(液体にも気体にもなれるのに、ここの氷柱ときたら文字通り堅物で、同じ場所で同じ形をして、何万年いや何億年とすまし顔を決め込んでいる。)
(はやく溶けて自由になってしまえ。)
(水になった体で気まぐれに世界を巡るといい。僕にできないことを存分にしてくるがいい。)
ある一滴は海に還って、ある一滴は空に還って。氷原ここに戻るのはいつでもできる。
雪がほとほとと落ち続けている。
それは世界中を巡って氷原に帰ってきた一粒なのかもしれない。
そんな想像を膨らませながら、ゼフィールは遠くへ運ばれてすっかり小さくなった氷柱をぼんやりと眺め続けるのだった。

***
「みんな、今日はこれで引き揚げよう。雪が強くなってきたからね。めいめい塔に戻って体を温めること」
監督者の指示に対してどの作業者の顔にも一様に安堵の表情が浮かんだ。ゼフィールは少しだけ笑う。
雪と氷に晒されて凍えながら仕事をする者達にこそ、暖かな場所で恋人や友人との語らいが必要だ。
暖かな場所――でゼフィールが思い出すのは、あの人とあの家の存在だった。そういえば、顔を合わせずにもうどのくらい経ったのかしら。
会おうと思えばいつでも会えるという距離感が逆にゼフィールの足を鈍らせている。
「……それから、今日は久しぶりにいいモノが切り出せたから、明日と明後日は休みにしようよ。きっとそれがいい」
ゼフィールは気まぐれな一陣の風。久しぶりに氷原の外で吹いてみるのもいいかもしれない。

【というわけで、若輩者ですがこれからよろしくお願いします】

Re: 【中文推奨】かみさまのラルム【参加者募集】 ( No.59 )
日時: 2018/01/21 22:42
名前: ゆきしま ◆BV.fqgxxRU (ID: Q8MrRCmf)

>>57

【特に不備はございません。かみさまのラルムをどうぞお楽しみください。
まあ、お恥ずかしながら人気のないスレでして、私しか相手がいないのですが。】

Re: 【中文推奨】かみさまのラルム【参加者募集】 ( No.60 )
日時: 2018/01/22 00:23
名前: ゆきしま ◆BV.fqgxxRU (ID: Q8MrRCmf)

>>58

【青の氷原/ミッドナイト】

 無数の氷柱が、自分の姿を反射した。まだ入口部分だというのに、まるで森に茂る木のようにあちらこちらに氷柱が垂れ下がっている。
もう、何百年ぶりだろうか。ここに来るのは。私のこの世で一番愛する物と出会えると信じて、毎日懸命に働いていた日々はもう遥か彼方だ。それどころか、自分の行動は、端的に言ってしまえば氷柱の破壊である。馬鹿みたいに、いつかあの美しい姿を拝めると信じて、好きでもない汗を流して。

 (あんなに美しいんだから、監督者が見つけないわけがないだろう。)

素人目、――――――そう、生まれたばかりの私でも見つけられたのに、いわば氷柱のエキスパートである者達が見つけられないわけがないのだ。それでも、こうして何百年に一回はあの氷柱と出会えることを願って、青の氷原に来てしまう私はきっとどんなラルムよりも愚かだ。何千回ここの空気を吸ったって慣れることはない。絶対零度の風が喉を通る痛みと、目から伝おうとしても凍ってしまう私の涙は、自分の首を絞められているのと同じくらいに私を追い詰める。しんしんと降り積もる雪が、自分の長い睫毛に乗った。

「ひどいほど、寒いな。青の連中はまだこんなことを続けているのか。ま、仕方ないか。そうでないと職を失う青のラルムは山ほどいる。」

緑の連中に早めに裁縫や服飾を習っておいて良かった。共に寝た女性の数は誰よりも多いだろうから、服についての話も多く聞けた。どんなタイプの服が好きだとか、どんな服が中央街には少ないだとか。僕に似合いそうな服だとか、そういう話も聞けたから、男用も僕に似合いそうな物を考えれば、それを買ってくれる客もいた。そんなこんなで服飾でお金を稼げるから、私はもうこんな仕事はしなくていい。しなくていいのに。

(私はまた此処に来て、傷ついて帰っていくんだね。)

過去にもやっていたから、連中がどのくらいの時間に帰っていくのかはたいていわかる。ちょうど、いなくなりそうな時間を狙っていたのだが。

(ちょっと、早すぎたかな。雪も降っているし帰っているものだと思っていたのだけれど。)

中に入っていくと、見たことのない青年が立っている。見れば、ほかの作業員も自分が来たのと違う方向から帰っていくところだった。そういえば、自分が働いていたとき、監督者が最後まで残っていた記憶がある。もしかして、監督者が自分の時とは違うのかもしれない。共に働いていたラルムの中にもこんな顔は見たことがなかったから、自分がやめてから、生まれた子なのかもしれない。そうか、そんなにも時間が経っていたのか。新しく入った子が、監督者になるまでの時間が。

「…………もう、一万五千年も探しているのか。」

きっと大陸の人間が聞いたら言葉にならないほど遠い時間なのだろう。それでも、あの氷柱にあった感動は昨日のことのように思い出せるんだから、ラルムは“悲しい”のだ。

そんなことを考えて歩いていたら、思わず青年の十歩先までに来てしまった。相手が気づいているのか気づいていないか分からないけれど、ここから彼を通り過ぎて行くのはどうにも難しい。

「こんにちは。もう雪が強くなってきているから、君も帰ったらどうだい。真夜中ワタシになってしまったら、前も後ろも、にっちもさっちも行かなくなってしまうよ。」



【最初から姉弟の邂逅はやめておくことにしました。拙い文章ですがよろしくお願いします。】

Re: 【中文推奨】かみさまのラルム【参加者募集】 ( No.61 )
日時: 2018/01/22 23:14
名前: 宝治  ◆wpAuSLRmwo (ID: fQkNQwJA)

>>60

【青の氷原/ゼフィール】

作業日誌に今日の記録をしたためたり、道具の数を確かめたり、細かな後始末をつけていると、監督者はどうしても帰りの時間が遅くなる。
――けれど、時々、残業に見合う対価を得ることがある。

「こんにちは、ミッドナイト」

遅くなった帰り道でばったり出会った彼は、氷原で仕事をする者達の間ではしばし話題に上がる男だった。
その取りまとめ役たるゼフィールだが、噂の人とまともに対峙したのは今日が初めてだった。やっと会えたという謎の感慨すら芽生ている。遅くまで残ったかいがあったというもの。

「僕はゼフィール。おそらく、初めまして」

他愛ない立ち話をしている間にも、雪は全てに等しく降り積もる。ゼフィールご自慢の黒皮のブーツがもはや白長靴に見間違えてしまうほどだ。
ミッドナイトは彼なりの言葉で帰るように促してくれた。
地面をトントン蹴って雪を払いながら、ゼフィールは言葉を返した。

「そういう貴方こそ、これから氷原散策かい?……あまりおすすめしないけど。今から行ける範囲にあるめぼしい氷柱は、あらかた僕らが切り出しちゃった。もう、小さいやつとか、ちょっぴり濁ってるやつしか残ってない」

なんとなく、ミッドナイトの表情を見るのが怖くてゼフィールはうつむき加減になった。仕事とは言え、少しだけ気まずい。
定かではない噂によると、目の前の彼は、異性に向けるような愛情を氷柱に向けてやまないと言う。
(もちろんどんな氷でもいい訳でもなく、彼には彼なりの水準があるのだろうが。)
そのミッドナイトが愛を注ぐ対象に対して、ゼフィールは産業的価値しか見いだせない。
売れたらいいもの、売れなかったら邪魔なオブジェクト、くらいのものである。監督者としては至極真っ当でドライな価値観だが、ミッドナイトの前でもこの信条を豪語できるほどの無神経さは、あいにく持ち合わせてなかった。
……会話に少し間が生まれたのでゼフィールは急いで言葉をつなぐ。

「ねえ、ミッドナイト。初めてあった印として今夜一緒に食事をするというのはどうだろう。なんせ僕達は神様ディユーラルム。永遠に続く一生だもの、二言三言話しただけではすぐに相手を忘れてしまって、次会う時にまた"初めまして”から始めるハメになる。だからせめて向こう百年は互いの記憶に留まるように、いろんなことを語るのさ」

この申し出は断られても良かった。もしミッドナイトがさらに奥へ行くつもりなら無理に止めようとはしない。氷原との付き合いならば彼の方が一万年ほど長いのである。下手なことは起こるまい。
ここから少し遠くなるけれど、未開発のエリアを教えてあげようと思う。
――彼が再び恋人と出会えることを祈って。

【ミッドナイトさんともお話してみたかったのでうれしいです!】

Re: 【中文推奨】かみさまのラルム【参加者募集】 ( No.62 )
日時: 2018/01/25 00:50
名前: ゆきしま ◆BV.fqgxxRU (ID: Q8MrRCmf)

>>61

【青の氷原/ミッドナイト】

「おや、私を知ってくれているのかい。この島の貿易の要を任されている子に覚えられているなんて、私も有名になったのかな。それとも、昔に誰かのキティでも奪ってしまったのか。まあ、どちらにせよ、改めて自己紹介をしよう。私はミッドナイト、真夜中のワタシだよ。」

たしかに自分の名前を読んだ彼はしかし、名を名乗ったあとに、はじめましてとつけた。自分よりも頭一個分は小さい彼は、きっと自分の噂を知っているのであろう。自分自身の噂が、自分自身に届かないわけがない。“氷柱狂いの真夜中”。それが私の噂の詰まるところだった。だからこうして、彼も現在この氷原に残っている氷柱達の状況を教えてくれたのだろうし。きっと、俯く彼と、それを眺める私の間にあるのは価値観の相違だ。私を理解できないが故に、私にかけていい言葉が見つからない。初対面なのだから、そんなことは気にしなくてもいいというのに。理解されないのは常であるし、自分が可笑しいのは重々承知の上だ。いまさら、異議を申し立てられても、笑って返せるだけの冷静さはあるつもりだ。

「…………そうだね、監督者の君が言うのだから、間違いはないだろう。今日は大人しく君の誘いに乗ろうかな。こんな寒い日に一人は寂しいからね。きっと君とは帰る場所は一緒だろうし。ね、ゼフィール。」

雪こそ被っているものの、彼の無造作ながらも美しい髪は、爪は、宝石のように輝く瞳は、西の風。そう、紛れもなくゼフィール。青の塔のラルムの色だった。

「君との思い出を作ろうか。冷たい私を暖炉のような暖かさで包んでおくれ。お話をしよう。他愛もないお話をね。」

【そう言ってくださると嬉しいです。】

Re: 【中文推奨】かみさまのラルム【参加者募集】 ( No.63 )
日時: 2018/01/30 23:41
名前: 宝治  ◆wpAuSLRmwo (ID: fQkNQwJA)

>>62

【青の塔/ゼフィール】

塔へと帰還したゼフィールは仕事着から私服に着替えるためにいったん一人で自室にこもる必要があった。凍りついたコートをハンガーに吊るし、濡れたズボンを脱ぎ捨てる。クローゼットから取り出した着替えを羽織るとようやく体温が戻った気がした。
ミッドナイトにはあらかじめ塔の中で落ち合う場所を伝えている。それにまだ時間には余裕があるようだ。ゼフィールはすこしゆったりした気分で自室から外にでた。

皆が集う共有スペース。
青の塔の内装は、赤や緑のものと比べるとやや無機的で無駄な装飾がない。それを殺風景と捉える者もいるけれど、ゼフィールはおおむねこの機能的なデザインを気に入っていた。
暖炉のすぐ近くのテーブル席に腰かければ、一日の仕事の疲れがどっと噴き出すようである。(といってもぼんやり切り出し作業を眺めるだけの一日なのだが)
せっかく初めて共にする食事なのだから、いきつけの酒屋でうんと高い酒を一杯ひっかけたいところではあったが、中央街までの距離を考えると断念せざるをえず、結果として青の塔以外に選択肢はなかったのだった。
雪原入り口にて交わされた簡単な食事のお誘いを思い出しながら、ゼフィールは約束相手の訪れを今か今かと待っている。
ミッドナイト。真夜中のミッドナイト。群れの中で監督者としてふるまう自分からすれば、氷柱を追う彼は孤高の人だ。
だから、今日得られた機会を、ゼフィールはとても特別なものだと感じていた。価値観の違う他人と触れ合う時、自分の世界は広がる。

(何を話そう。やっぱり氷柱のことだろうか?それ以外に話せることはなんだろう?……ああ、やっぱり僕はミッドナイトのことを全然知らない)

例えば、彼の好きな食べ物だって知らない。
だからテーブルには支給された食事の他、仕事仲間からおすそ分けしてもらった輸入品のサラミや、自分で買ったドライフルーツなどが手当たり次第に並べられている。
ゼフィールなりに歓迎の意を示しているつもりなのだ。こんな時、常日頃から料理をする者なら、有り合わせの素材で温かいものを振舞うのだろう。

(あたたかい、りょうり、か)

ふと、脳裏にあの人の後ろ姿がよぎった。
――今日もあの人は、あの家で、オムレツを焦がしたり砂糖と塩を間違えたりしたのかしら。それから包丁で指を切っていないといいのだけれど。
陶器やガラスは割れると怖いから木の椀を使ってくれると安心するな。……――
変に思考が飛んでしまい、ゼフィールは露骨に眉をしかめた。危なっかしい姉の世話が嫌だからと別居を選んでいるのに、気づけば彼女の心配ばかりな自分に嫌気がさす。

誰かが暖炉に新しい薪をくべた。ぱちぱちと火花がはぜる音がした。

【中途半端ですがここで区切る!】

Re: 【中文推奨】かみさまのラルム【参加者募集】 ( No.64 )
日時: 2018/02/01 01:17
名前: ゆきしま ◆BV.fqgxxRU (ID: Q8MrRCmf)

>>63

【青の塔/ミッドナイト】

 自分を食事に誘った彼は、共有スペースで待つと言っていた。ミッドナイトは自室に戻り、着ていたコートを脱いで、椅子の背もたれにかけた。次に、中に着ていた黒のセーターを脱ぎ、黒のスキニーパンツと、同じく黒のエンジニアブーツのみで、一度鏡を見る。生まれたときとほとんど変わらない白い上半身は、外と塔内の温度差で段々と赤みを帯びてきている。生まれた時の凍傷で赤くなっていた肌とそっくりな姿に、また氷柱を想う。この鏡より美しく自分を映していた気がする。思い出は、綺麗に記憶してしまうらしいから、実際はどうだったか、もう分からないが。

(いいんだ、今日は新たな出会いの日だ。氷柱の手がかりになる大きな存在だ。あの氷柱はなくとも、きっとあれに似た――――――、)

いや、いい。そんなことを今は考えなくとも。鏡から目をそらして、エンジニアブーツと、スキニーパンツを脱いで、一糸纏わぬ姿になる。そのまま、ふくらはぎ丈の黒い靴下を履き、ガーターベルトで留める。そのまま白のワイシャツを第二ボタンまで開けて着、先ほどとは違うスキニーパンツを履いて、ウエスタンブーツを履く。

「さあ、そろそろ出ようか。」

自室の冷蔵庫から一本赤ワインを出し、両手に持ちながら共有スペースに向かった。

 ゼフィールは一番暖かい場所を陣取ってくれていたらしい。薪を足したばかりらしく、炎の勢いが激しい。ミッドナイトはゼフィールの向かいに腰掛けて、ゆったりと背もたれに体重をあずけながらゆったりと笑った。

「君はワインはいけるクチかい? そんな高いものではないのだけれどね、グラスは共有スペースの棚から出せばいいだろう。このワインは香りがいいからね。リムが小さいグラスのほうがいいかもしれないね。少し待っていてくれ、取ってくるよ。」

たくさんの料理を用意してくれた彼に、せめて飲み物では貢献しようと、グラスを二本、棚から持っていくと、赤ワインを注いでゼフィールの前に差し出した。自分の分も相手よりほんのちょっと少なめに注いで、乾杯を促す。しかし、ゼフィールの意識は此処にあらずと言った風だ。何か悩みでもあるのだろうか。

「浮かない顔をして、私と乾杯は嫌かい? それとも、考え事かな。」



【こちらも中途半端になってしまった……。】

Re: 【中文推奨】かみさまのラルム【参加者募集】 ( No.65 )
日時: 2018/02/04 23:39
名前: 宝治  ◆wpAuSLRmwo (ID: fQkNQwJA)

>>64

【青の塔/ゼフィール】

「――あ、ごめん」

ゼフィールはミッドナイトの怪訝そうな問いかけで我に返ると、慌てて自分のグラスを相手の方へ寄せた。チリン、硬質な音が二人の間に小さく響く。
そこで改めて、対面に坐する彼の姿を注視してみる。自室から戻ったミッドナイトの服装は、シックな黒を基調としていて、大人っぽい彼にぴったり似合っていた。まさに真夜中の彼だ。
我が身を振り返ってみれば、ちょっと毛玉が立った厚手のセーター、裾がほつれたズボンという冴えないいでたちである。
服は着れりゃ十分だと常日頃から豪語するゼフィールだが、ミッドナイトの粋な装いを見て、お洒落について教えてもらいたいものだと気まぐれに思ったりもした。
ただ残念ながら、そんな軽口を叩けるほどに二人の仲は進展していない。普段は口数の多いゼフィールだが、青の塔の先輩を前にして少し緊張してしまっている。
自然と、話題は目の前に広がる食事へと移った。

「……急に温かい場所に来たもんだから、ちょっとぼーっとしてるみたいだ。……赤ワイン、頂くね」

すんなり唇に導かれる赤。渋みを抑えた優しい飲み口、続いて鼻孔を通り抜ける爽やかな果実感。後味は微かに甘く残り、ゼフィールの舌はその余韻にしばしの間浸った。
仕事仲間のあいだでは、ウォッカのような度数の高い蒸留酒が特に好まれていた。皆、酒の味を楽しむためというより、体を温めるために酔う必要があるのだ。
だが、ミッドナイトの持ち寄ったこれは、もっと複雑で、快楽的な意味を持つ酒だ。続けざまにもう一口飲む。体の中からじんわりと幸福感が押し広がってゆく。
グラスに残った赤ワインを無意識にゆらゆらと揺らしながら、ゼフィールは自分について話そうと思った。

「僕には所属する塔の異なる姉がいるんだ。ヴェールニルという名前で、ゼフィールとは色も性格も何もかも正反対。ちょっと――いや、かなり抜けてる人だから、その人の心配事ばかりが頭の中をぐるぐる回ってしまうんだ。さっきもそれで変に黙ってしまって」

ゼフィールは情けなさそうに笑った。

「……会うたびに家に一緒に住もうと言われるんだけど、それを5000年くらい断り続けてる。お互い、姉弟以外の世界を持つ必要があると思うから。きっと一緒にいたら、姉も僕も自分たちのことにかかりっきりになって、小さな世界しか知らないまま何万年も生きることになる。それってつまらないよね。
僕は僕が知らない色々なことを知りたい。僕の持ち合わせない感覚や価値観を持った人と話して世界を広げたい。だからミッドナイト、君のこともたくさん知りたいし、僕が知っていることはなんでも教えてあげたいと思ってる」

自嘲気味の話し声が次第に熱を帯びていく様を自覚しながら、ゼフィールはそれを止められなかった。
……赤ワインはその色があらわすように情熱の飲み物、なのかもしれない。


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