『大好きなあなたへ』
溶けてしまいそうだった。
愛してるといわれて、本当に幸せだった。
肌を重ねて、愛を確かめて。
そして。
私はシャワーを浴びている。
肌を重ねたのは、初めてだった。
太ももからつうっと、一筋の紅。
けれどそれも、もう流されていって。
体の火照りは、シャワーで冷やされて。
きゅっとシャワーの栓を閉めた。
幸せを永遠にするために、私は心に決めた。
バスタオルを纏い、そして、新しい下着を身に着けて。
クローゼットから、服を取り出した。
本来ならば、私はこれから『仕事』に行かなきゃならない。
けれど……。
私の心は、想いは止まらない。
大好きな、あの人の下へ。
服を着て、駆け出した。
彼のいる部屋へと。
駆け抜ける間、人々が、私の姿を見て驚いていたが、かまわない。
今日は特別な日なのだから。
寝ている人の部屋に入り込むことは、私にとって簡単なことだった。
けれど、そうしなかったのは、起きているあの人に会いたかったから。
玄関の扉の前でチャイムを鳴らす。
「……どなたですかぁー」
眠そうなあの人の声が聞こえた。
「メリークリスマス! プレゼントを持ってきましたよ」
「ふへ?」
あの人が驚いている。
そうだろう、なにせ、私は『サンタ』なのだから。
ちょっぴりセクシーなサンタ服だけど、それは紛れもなく、サンタ服。
「私、あなたと一緒にいたいの!」
彼の胸に飛び込んで、あの人の顔を覗き込む。
「あの話、本当だったんだ」
驚いていたけれど、私を逆に抱きしめてくれた。
「僕のサンタさん、よければ、ウチでクリスマスをやりませんか?」
「はい、喜んで」
幸せなときは続くのだ。
これからもずっとずっと……。