【この素敵な世界は、何色?】
「おはよう」
何気ない挨拶。偽善ともいえる笑顔。
なんで、偽善かって?
だって、しなきゃいけない意識、つまり、当たり前をやってるから。
それは、私の中では、偽善だ。
毎日、毎日が平凡で、面白くない。
その中で、私は夜が好き。
暗くて、静かな闇。誰も私に近づかない。近づくのは、黒い悪魔と白い夢。私が眠ると、入り込むのは白い夢。
夢の中なら、私の好きなように世界が創れて、悲しい事や苦しい事なんてない。たまに、悪夢が迷い込んでくるけど、そんなのは気にしない。
黒は、白が揉み消してくれるから。
現実では、そうはいかない。
毎日毎日、嫌な事や苦しい事の連打。
例えば、朝。傘を持ってないのに雨が降り、私が濡れた。
だけど、人々は見て見ぬふり。これが夢の中なら皆が手を貸してくれる。
それから、昼も。転んだせいで、お弁当がぐちゃぐちゃになってしまった。だけど、誰も優しくしてくれない。確かに、私が悪いけど。
少しは、手を貸してよ。たくさんの人がいるのに、まるで私は独りぼっち。
「そんなの、気にしなくていいよ」
母は、決まって優しく微笑みながら言う。
その笑顔、偽善?それとも、私を哀れに思った苦笑?
私はそう問いたくなる。
言えるわけがないけど。大人に逆らえないのが子供。
ちっぽけな存在なのに、大人達は、
「子供は私達の未来を担うのです!」
の一点張り。おかしいよ。
私に手を貸してすらくれない大人達が、私に頼るわけ?
その上、
「成績がよくないと、いい小学校や、大学に入れない」
分かってる。そんなの、子供が一番良く分かってるから。
わざわざ、言われなくたって。わかるっつーの。
そんな事を思っちゃう私。私も、白に頼る黒。つまり、大人みたいなものなのかな
>>400
に続きまして
そんな事は、どうでもいい。
どうせ、“オモテ” は、華やかに輝く白舞台。“ウラ” は、残酷で黒く染まった舞台裏。私は、ウラに生まれてきてしまったのだ。
そんなウラで、オモテを憧れても、意味は無い。
もし、オモテに生まれてきた人がいたとしたならば、私はその人に聞きたい。
「その素敵な世界は、何色?」
って。
「おはよう」
何気ない挨拶。偽善ともいえる笑顔。
また、リフレインされる……!
つまらない平凡な毎日が。
だけど、夜の白も、結局は偽りだった。
私は、素敵な世界の色を知りたい。
黒か、白か。
《END》