(( 課題は自分でやりましょう ))
休み明けの気だるい月曜日。学校の門をくぐる足取りも重い。
私はいつも通り自教室に入り、鞄を自分の机にどさりと置く。
そして本日の時間割を確認し、提出しなければいけない課題を用意しておく。
・・・ん?課題?
眉をひそめた。確か週末課題として数学のプリントが配布されていたような。
曖昧な記憶に首をひねりつつ、ファイルからプリントを取り出す。
目に飛び込んだのは真っ白な色。
なんということだ、私は課題をやるのを忘れていたのだった。
頭の血の気が引いてゆくのが分かる。これははまずいことになった。
数学担当の女教師は、学校内でトップを争う程の”怒らせると面倒な先生”として名高い。
私は教室に友達が入ってくるのを視界に捉えると、すぐさま駆け寄った。
「あ、おはよー。」
「おはよう!!それより数学の課題やった?」
私の友達が感じよく挨拶するのを軽く受け流し、事態を急ぐ本題を持ち出す。
数学は一限目だが、今から写させてもらえば間に合うかもしれない。
「うん?数学の課題?」
「そう!私忘れてたから、見せて欲しいんだけど」
縋る思いで両手を顔の前で合わせた。
しかし、私の希望は次の友達の言葉で崩れ去る。
「課題なんてあったっけ」
それがあったんだよ!!心の内で叫ぶと、私はがっくりと首を垂れた。
時計を見上げれば、一限目開始まであと数分。
他の誰かに見せてもらったとして間に合わないのは確かだ。
「そうだ、優等生ちゃんがいる!」
友達はぱっと表情を明るくしてそう提案した。
優等生ちゃんとは私の友人のうちの一人で、その名の通り優等生なのだ。
彼女なら課題をきっちりやっているだろう。
「だけど、写すのに時間かかって間に合わないよ・・・」
「何のために学校にコピー機があるのさ」
!?
私は驚きの発言に感嘆符を頭上に二つ浮かべた。
まさか、優等生ちゃんの課題をコピーして提出しようというのか。
そんな極悪非道な行為、私には出来ない・・・そう抗議しようとするも
時計が目に入った。残りリミット僅か。私は善の心をたやすく投げ捨てた。
***
優等生ちゃんは性格も聖人のような人なので、下衆な私達に課題を貸してくれた。
学校唯一のコピー機置き場、図書室に駆け込む。
一限目まで、もう時間がない。急げ急げ。
「コピーする」のボタンを凄い勢いで2プッシュ。
ががが、と音を立てて数式が完璧に並ぶコピー用紙を吐き出す機械。
プリントアウト完了。優等生ちゃんに感謝すると共に、安堵の溜息を吐く私と友達。
これで何とか先生に怒られずに済みそうだ。
***
そして私たちは名前が「優等生ちゃん」のままの課題を提出してしまった。
そりゃコピーしたんだから、名前もそのままのはずだ。
詰めの甘さに私たちは涙を呑んだ。
結局、課題が倍になったのは言うまでもない。
初めまして、おもしろそうな企画だったので投稿させていただきました!
方向性が周りの方々と違う内容で申し訳ないです。白の要素が足りてない気が・・・