どうも、書き述べるです。
この大会に投稿するの、何ヶ月ぶりか。。。。いや一年以上経ってしまってたでしょうか。
本編の続きが全然思い浮かばず、漫然と雑談スレ見てたら、俄かにここに投稿したくなってしまい。。。。
テーマが抽象的だったので、頭の固いわたくしめは、直球勝負で書いてみました(笑)
~ベンチウォーマー~
等間隔に24列の直線状の塹壕が掘られた空間で、右端の塹壕を割り当てられた彼が薄暗い地下から天を仰いだ。狭い塹壕から覗く細長い空は赤茶けていて、数条の濃い茶色の筋雲がその空を横切っていた。
空はどんなに時間がたっても、その姿を変えることはない。だから、空高く掲げられた巨大な時計を見ないかぎり、時の流れを知るすべはなかった。
時間は午後7時50分。そろそろ塹壕に、弧を描いて天より堕ちてくる迫撃砲の防御のための蓋がかぶせられるころだった。
右端の彼が深くため息をついた。
出撃を待ちわびている右端の彼は、再び連続待機日数の記録を更新していた。
戦場は血を血で洗う修羅場と化し、みだりに塹壕から頭を出してはいけないとの指示が出ていた。だが、耳を弄す爆音や人の名前を叫ぶ怒号が飛び交う中、左隣やそのまた隣の友軍が威勢のいい叫び声をあげて飛び出していくの耳にするたびに、右端の彼の焦燥は募っていった。
出撃するたびに彼の仲間は生死の境をさまよいつつもこの塹壕に帰還してきていたのだが、中には出て行ったまま帰って来なかった奴もいた。右端の彼が知る限りでは、帰らぬ身となったものは2名。残された塹壕には人員が補充されることもなく、おびただしい量の粉塵が空洞を占拠していた。
地鳴りのような金属のきしむ音が24本の塹壕に響き渡る。蓋がかぶせられる時刻だ。
金属製のふたは、気の利いた塗装もなく、くすんだ灰色の地のあちこちに汚れが染み付いた年季ものだった。蓋が塹壕を覆い尽くすと、殆ど顔も見たことのない仲間同士で最小限の会話が交わされた。最初はみなじっと押し黙ったまま蓋が開くのを待っていたのだが、数日たったある日、誰ともなく愚痴や不安をこぼし始め、今となっては、蓋が閉められたあとの日課となっていた。
仲間の話では戦地は日増しに混乱が深刻になっているとのことだった。戦場に赴いた仲間は、意味のない突撃を繰り返させられ、激しく消耗していた。どの仲間も初めて出撃したときは、縦横無尽に戦場を駆け回った興奮さめやらず、夜遅くまでうっとうしいくらいに武勇伝を語っていたが、一月(ひとつき)もしないうちに勇気は恐怖へと変わり、右端の彼を除く23名の精鋭の精神を蝕んでいった。亡くなった2名は特に出撃の頻度が高く、一人は爆撃の衝撃波による頭蓋骨陥没、もうひとりは背骨がへし折れ、ともに即死だったという。
出撃経験のない右端の彼は、仲間達のおぞましい話を何度聞いてもそれが自分に降りかかってくるとは到底思えなかった。自分に限ってそんなへまはしない。戦場で目覚しい殊勲をあげ、表彰される。筋金入りの自信家の彼はそんな自分をいつも思い描いていた。
だが、まるで総司令部が彼の存在を知らないかのように、連日彼以外の仲間ばかりが出撃を命じられていた。
何処に問題があるのか、彼は総司令部に直談判を試みようとしたが、隣とまた隣の仲間達に強くとめられた。
戦場を目の当たりにした彼らも、自分達が指揮官であっても、その判断は覆ることはないだろう、と。
右端の彼は塹壕の壁越しに彼らにその理由を聞いた。お互い殆ど顔も知らないのに、どうしてそんなことが言えるのか。
彼らは答えた――。
あんたを一目見ればわかる。
戦場は白い。
キャンバスは白いのだ。
だからあんたは出撃できないのだ。
金属ケースの右端にはまっていた白い色鉛筆の彼は、返す言葉を無くしていた・・・・・・。
~『ベンチウォーマー』完~
くそまじめに書いたのですが、、、何でこうなるんでしょうかねぇ。。。。(溜息)
特によく使われ、天に召された2つの色って、何色だったんでしょうねぇ。筆者も存ぜぬところであります。。。。(ぉぃ)
じゃっ!