題<<いじめ、その裏は、殺人。>>
少女はやってきた。ある初夏の日に。
★★★
少女の名は美羽(みう)といった。
美羽は身長は低かったが、前の学校では天才少女と呼ばれていたほど勉強もでき、スポーツもでき、そしてなにより、
可愛かった。
けれどそれは、アイドルとか、美少女とか、そういうのではなかった。
魅力的、というのが一番合っている。
笑顔がよく、男子とも女子とも仲良く接していた。
★★★
いつしか美羽は、クラスの中心となっていた。
それを良く思わなかった人物がいる。
優奈(ゆうな)、だ。前までのクラスの中心人物。
ブロンドの髪、碧眼、色白の肌。
ふつうにかわいいのに、金持ちお嬢様だということを鼻にかけていて、嫌われていた。
これまでにも優奈や取り巻きは色々な子をターゲットにしてはいじめていたが、
美羽がターゲットになったのは、言うまでも無い。
ある日は上履きをトイレに投げ込み、
またある日は教科書の表紙に落書きをしたり、
またある日は着替え終わった制服のスカートを引き裂いたり。
しかし、本人は気づいていなかった。取り巻きが、少しもいじめに参加していないことに。
★★★
ある日の調理実習が終わって。美羽は、なにやらごそごそしていた。
何かに、使い終わったエプロンを巻きつけている。
「美羽、さん。・・・いいかな。」
美羽はそれを、さっ、と服の中に隠した。
「・・・いいですよ。」
美羽は学年の人気者、瑠華(るか)に呼び出された。正確には呼び出してもらった、なのだが。
「いいです。」少しはなれたところで、瑠華が言う。
すると。
上から、美羽に向かって。誰かが、落ちてきた。
優奈だった。
「永遠の眠りにつくがいい!」屋上で誰かが叫ぶ。
「美羽!助けなさい!」落ちてくる優奈が叫ぶ。
だが、美羽はこう言った。
「グッバイ、フォーエバー。 永遠に、さようなら。」
そして、笑った。
上から落ちてくるモノに、目を細め、
先ほどの何かを、・・・ナイフを、突きつけた。
★★★
もちろん、この学校は、廃校になった。あいにく、天才少女・美羽によって、犯罪者は捕まらなかった。
★★★
~あとがきじゃないあとがき。~
読んで下さり、ありがとうございました。 完。なのです。