Re: 第十回SS大会 お題「罪」 投稿期間延長 6月上旬 ( No.473 )
日時: 2013/06/10 03:03
名前: 蝶崎結愛

題<<いじめ、その裏は、殺人。>>

少女はやってきた。ある初夏の日に。


     ★★★


少女の名は美羽(みう)といった。

美羽は身長は低かったが、前の学校では天才少女と呼ばれていたほど勉強もでき、スポーツもでき、そしてなにより、
可愛かった。

けれどそれは、アイドルとか、美少女とか、そういうのではなかった。
魅力的、というのが一番合っている。
笑顔がよく、男子とも女子とも仲良く接していた。


     ★★★


いつしか美羽は、クラスの中心となっていた。

それを良く思わなかった人物がいる。

優奈(ゆうな)、だ。前までのクラスの中心人物。
ブロンドの髪、碧眼、色白の肌。
ふつうにかわいいのに、金持ちお嬢様だということを鼻にかけていて、嫌われていた。

これまでにも優奈や取り巻きは色々な子をターゲットにしてはいじめていたが、
美羽がターゲットになったのは、言うまでも無い。
ある日は上履きをトイレに投げ込み、
またある日は教科書の表紙に落書きをしたり、
またある日は着替え終わった制服のスカートを引き裂いたり。

しかし、本人は気づいていなかった。取り巻きが、少しもいじめに参加していないことに。




     ★★★



ある日の調理実習が終わって。美羽は、なにやらごそごそしていた。
何かに、使い終わったエプロンを巻きつけている。

「美羽、さん。・・・いいかな。」

美羽はそれを、さっ、と服の中に隠した。

「・・・いいですよ。」


美羽は学年の人気者、瑠華(るか)に呼び出された。正確には呼び出してもらった、なのだが。


「いいです。」少しはなれたところで、瑠華が言う。

すると。


上から、美羽に向かって。誰かが、落ちてきた。


優奈だった。


「永遠の眠りにつくがいい!」屋上で誰かが叫ぶ。

「美羽!助けなさい!」落ちてくる優奈が叫ぶ。


だが、美羽はこう言った。


「グッバイ、フォーエバー。  永遠に、さようなら。」


そして、笑った。


上から落ちてくるモノに、目を細め、


先ほどの何かを、・・・ナイフを、突きつけた。


     ★★★


もちろん、この学校は、廃校になった。あいにく、天才少女・美羽によって、犯罪者は捕まらなかった。



     ★★★











~あとがきじゃないあとがき。~

読んで下さり、ありがとうございました。 完。なのです。