*鏡映しに微笑んで――。
鏡の世界を覗いてみない?
私が見ているのは、私。でもそれは貴女でもあるの。
歪んだ文字も、錆び付いて見えなくなった景色も、指を伸ばしてみて?
触れたいと願って、でもそこにあるのは銀色で。
映されたサカサマを指でなぞるだけ。
何が本当?
どれがニセモノ?
真実と偽りの境目に目を向けて。
私と私と、貴女。
誰が『私』なのかしら。
『私』は『貴女』
『私』は『私』
『貴女』は『私』
鏡映しに微笑んで――?
映った貴女は笑うけど、映された貴女は微笑んで。
映る私は、背を向けた。