Re: ぷよぷよ!!好きな方来て下さい!【短編やってます】 ( No.29 )
日時: 2014/01/07 07:35
名前: 紅月 (ID: 3sQI9M2s)

【時空の旅人と真実の鏡】(2)
「はぁ…」
時刻は午後5時。あたりはうっすらと暗くなっていて、空には綺麗な夕焼けの色が広がっていた。校庭には、練習を終え片づけをするサッカー部の生徒たちが見える。
「結局、見つからなかった…ね★」
「うん…。ごめんね、私が巻き込んだばっかりに」
「気にするな、りんご君。案外、楽しかったぞ」
「それは何より」
私たちは手分けして校内をくまなく探しまわったけど、結局その鏡を見つけることはできなかった。
「それより、今日はもう遅いので帰りましょう!ではでは!」
「じゃあね、りんごちゃん★」
「また明日」
私は二人に手を振りながら、帰路についた。

「結局、収穫ゼロかぁ…。やっぱりウソだったのかな」
私は俯きながら、ため息交じりに家を目指していた。
確か今日は、おばあちゃんが旅行でいないんだっけ。
私はそう思いながら歩いていると、誰かにぶつかった。
「あいたっ」
ぶつかったのは、私より少し背が高くて、水色のロングヘアーが目立つ人だった。中性的な顔立ちをしていて、美少年と言っても良いくらい整っている。目は水色とピンクが混ざったような、不思議な色をしていた。
私はその人を見たとき、なんだかこの世の人間じゃない気がした。
「君、大丈夫?」
上から降ってきたのは、落ち着いていてどこか妖しい男性の声だった。
顔を上げると、その人は私に手を差し出していた。
「あ、ありがとうございます…」
私はその人を握って立ち上がり、頭を下げてお礼を言った。
「君、近くの中学生かな?こんな暗いときに、一人で大丈夫?」
普通のお兄さんが言うと紛れもなくヘンタイやアヤシイ人に見られがちだけど、この人は何故かアヤシイ感じがしなかった。
それよりも、何処かで会ったことがあるような…。
「ふふふ、僕は君を連れ去ろうなんて思ってないよ。僕にそんな趣味はないからね」
「は、はい…。それより、何処かで会いましたっけ?」
私がそう言うと、その人は一瞬目を開いたけど、クスッと笑って言った。
「うん、会ったかもしれないね。もし会っていなくても、君の記憶はちゃーんと残っているはず。違う?」
「?」
私ははっきり言って、この人が言っていることが理解できていなかった。
会っていなくても、記憶はちゃんと残っている…?
どういうことなのかと尋ねようとしたとき、その人が口を開いた。
「やっぱり、僕を見ただけじゃわからないか。なら、今日の午後9時に、学校のプールにおいで。きっと、その意味が分かるはず。君が僕とこうして会った意味もね。じゃあね、待ってるから」
「えっ…?ちょ…ちょっと!?」
引き留めようとしたけど、突然吹いた強風で目を瞑ってしまった。
目を開けた時には、その人はもう消えていた。

Re: ぷよぷよ!!好きな方来て下さい!【短編やってます】 ( No.30 )
日時: 2014/01/07 08:48
名前: 紅月 (ID: 3sQI9M2s)

【時空の旅人と真実の鏡】(3)
時刻は午後9時。
空は雲一つなく、自慢の視力でたくさんの星を確認できるほどだ。そんな中でひときわ目立つのは、見事な三日月だった。
私は今、学校の校門を抜けて、プールを目指している。侵入するのはまずいんじゃないかとは思ったが、私は好奇心を抑えきれず、結局ここへ来ることにした。
プールにつくと、約束通りあの人が、プールサイドに立っていた。
「やあ、やっぱり来たんだね」
「はい。あなたが言ってたこと、教えてくれますね?」
「もちろん。ここに来たからには、教えてあげるよ」
その人は妖しく笑うと、プールの周りを回り始めた。
「君は知っているかな?この学校の真実の鏡の噂を」
私はその人の言ったことを聞いて、ハッとした。
それは紛れもなく、私たちが調べていたことだった。
「あれは、僕が流したものなんだ。ある日僕は、偶然このことを見つけてしまった。それが、ここさ」
「えっ…?」
私たちが探し求めていた真実の鏡が、こんなところにあったなんて…。
「だけど、鏡に真実の姿を映すためには、三つの条件があるんだ」
「三つの条件…?」
私はその人の言ったことを聞き返していた。
「一つ目は、月の見える夜であること、二つ目は、この周りを一周すること」
そう言いながら、その人はプールの周りを一周し終えた。
「三つ目は、人間ではない者がここを見ることさ」
そう言って、その人はプールを覗きこんだ。
「ほら、君も見てごらん」
その人に言われた通り、私もプールを覗いた。水面には、たくさんの星と三日月、そして私たちが映っていた。すると水面に映ったその人の身体が歪みだし、だんだんともう一つの形を作っていく。そして、そこに映ったのは…。
手足の先がぼんやりとした、黒い影…。
それは、私が再び会うことを夢見ていた、その人だった。
「エ…、エコ…ロ…?エコロなの…?」
「そう。僕はエコロ。時空の旅人さ」
まさか…、目の前にいるのがエコロだったなんて…!
私は水面に映る姿を見た途端、目から涙が零れ落ちた。
「僕はサタンのおじさまに頼んで、人間の姿にしてもらったんだ。それも、りんごちゃん、君に逢うために」
「えっ…?それって…どういうこと?」
「僕は君が好きだったんだ。僕を励ましてくれた、あの時から…」
私はエコロが言ったことを、数秒後に理解して顔が熱くなった。
「えええええええーっ!?」
「しーっ!りんごちゃん、声が大きいよ」
すると、だんだんと近づいてくる足音が聞こえた。警備員の人なのか、あわててるみたいだ。
「りんごちゃん、ちょっと摑まっててね」
そういうとエコロは、私を抱えて飛び上がった。そのまま学校の屋上に降りて、私を降ろした。
「ご…、ごめんねエコロ。私のせいでこんなことに」
「いいよいいよ。ここなら誰もいないし、ほら、見てごらん」
エコロの指差した方向を見ると、町の夜景が見えた。
夜に屋上に上がったことはなく、いつも見える町とは違ってとても綺麗で、私は心を奪われていた。
「綺麗…」
「でしょー?」
私たちは顔を見合わせて笑った。エコロには今までいろいろ迷惑をかけられたけど、私はそんなのどうでも良くなった。
すると、いきなり強い眠気に襲われた。私はここで寝ないようにねばったけど、その努力もむなしく、ふらふらしながら床に倒れこみ、そのまま意識を失った。

「…?…ちゃん?起きて!りんごちゃん!」
「うわああああああああああっ!」
誰かに起こされて、私は飛び起きた。あたりを見回すと、そこは紛れもなく自分の部屋だった。
「なんだ…。夢だったのか…」
「え?夢じゃないよ」
「ひゃああああああっ!」
声がした方を見ると、椅子にエコロが座っていた。昨日と同じ人間のままで、ニッコリと笑って言った。
「りんごちゃん、今日は部活じゃないの?」
「あっ、そうだったー!」
今日は部活のある日で、りすくま先輩の実験のお手伝いをする予定だった。
確か、きんきの煮つけがどうのこうのって言ってたっけ…?
「ほら、早く行かなきゃ」
「エコロは行かないの?」
「うー」
私がそう聞くと、気まずそうな顔をした。
「僕が行くとまぐろとやらが怒るだろうし、やめとく」
「そっかー。じゃあ、行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい」
私は今日も、元気に家を飛び出していった。

紅月です。完結させました^^;
今回は3話構成になってしまって、書いている私は死ぬかと…www
あ、きんきの煮つけなんですが、これは知ってる人も居るかと思いますが、ドラマCDのネタですwwwwwwこれを聞いた私は爆笑でしたwwwww
次回はシェゾとアルルでギャグ書きたいです。いえ、書きます(頑張ります)あとラグナスも出したいなーと考えてます。

ラグナス・ビシャシ→魔導物語、ぷよぷよSUNに登場した、アルルとは違う世界の勇者。茶色の髪と目をしている。17歳。剣を取ると本当の身体になる。
それ以外は幼い子供の姿。SUNの場合は無敵時間が切れると子供になる。
↑ラグナスの説明を載せておきました。参考になればいいです。
長文すみませんでした。