Re: ぷよぷよ!!好きな方来て下さい!【短編やってます】 ( No.48 )
日時: 2014/01/12 17:47
名前: 紅月 (ID: Sk2AizRE)

【ヘンタイ魔導師と不思議な魔法薬】(4)
「おい、闇の魔導師シェゾ!聞こえるか!?」
「シェゾ、目を覚まして!」
誰かが俺の名前を呼んでいる。俺が目を覚ますと、顔を覗き込む人が二人。
黒髪に茶色の瞳の青年と、茶色のポニーテールに金色の瞳の少女。
二人とも、俺がよく知っている人物だった。
「ううん…?アルル…、ラグナス…?」
「よかったー。シェゾ…。心配したんだから!」
「やれやれ、私がいなければお前は今頃死んでいたんだぞ」
アルルは今にも泣きそうな顔をしている反面、ラグナスは呆れた様子だった。
俺はふと、意識を失う前のことを思い出した。
「ッ…!シエラはどこだ!?」
俺は確かに見た。アイツの瞳がだんだんと血のような赤に染まっていくのを。
アイツは、闇の貴公子の一族だと言っていた。
俺はどうしても、アイツに確かめたいことがあった。
「俺は…、シエラに聞きたいことがあるんだ。シエラの居場所を教えてくれ」

「来たね」
俺はプリンプタウンから少し離れた、遺跡の近くへ来ていた。
アルルやラグナスの言った通り、そこにはシエラがいた。
「私に聞きたいことがある、でしょ?」
「ああ」
俺は、気になっていたあのことをシエラに話した。
「うん、そのことね。私は確かにあの闇の貴公子サタンの血縁だよ。だからと言って、私はあんなに強大なチカラは普段は使えないんだ」
「だったらなぜ、あんな強いチカラを発揮できるんだ」
「それは…」
シエラはそう言って、俺に小瓶を差し出した。小瓶の中には、透明だが光を受けて輝く液体が入っていた。
「これは、私が偶然発明した魔法薬。これを飲めば願いが叶うんだ。でもそのためには、何か一つを失わなければならない」
「何だと…」
「私は強大なチカラを使えるようにする代わりに、生まれ持った目の色を隠せなくなったんだ。私のこの目はカラーコンタクトだから、チカラを発揮すると意味なくなっちゃうんだよね」
俺はそのことに対し、何も言えなかった。コイツはもともと赤い目をしていたとは思わなかった。
それに、願いの叶う薬…。あれからなにか不思議なチカラを感じる…。
「シェゾ、この薬、君にあげるよ」
「何っ?いいのか?」
「うん。私にはもう必要ないし」
シエラは俺に小瓶を手渡し、少し悲しそうに笑った。
「君にアルルのチカラを渡さなくて済むよ。アルルは私の大切な友達だから」
そう言って微笑むシエラは、サタンとは違って、とても清らかな気がした。