【Act. ―2― 鵲の短冊に天の川が誓う】
――かささぎさん、かささぎさん。私を、天の川の向こうへ連れていって?
遠い昔にした約束を、守り続けて何年経っただろうか。晴れた日もあれば、曇った日もあった。雨に降られた日もあった。
毎年、毎年。1年に1度。織姫を背中に乗せて、向こう岸へと運ぶだけ。
仲間の鳥には、物好きだね、と笑われた。
『君は毎年同じことをし続けて飽きないのかい? やめちゃえばいいじゃないか』
山羊が笑いながら聞いてきた。でも、僕はかぶりを振る。
『良いんだ。僕が自分から願ったことだからね』
織姫が自分のものにならなくとも、背中に乗せている間は彼女と触れ合えるじゃないか。僕の、たった1つのささやかな願い。
天の川は僕に同情してくれて、1つ誓ってくれた。その代償に、綺麗だった黒い翼の先っぽが白くなっちゃったけどね。
『でも、それでいいの? あなたの想いは届かないままじゃない』
天の川は優しいから時々、心配してくれる。
良いんだ。と答えて、今年も織姫を背中に乗せた。天の川を越えて、向こう岸の彦星へ送り届ける。
彼女は幸せそうな顔で、ありがとう。と言うんだ。
――この願いが、いつまでも叶いますように。
第二回SS競作お題【鵲の短冊に天の川が誓う】
お題投稿期間【8月10日まで】
お題条件
・上記のAct.2が物語の設定です。これと、一般的な七夕の物語を設定としてください。
・話の舞台は、現代もしくは未来にしてください。過去回想の場面を入れるのはありです。
・織姫、彦星、鵲、天の川、山羊の5役を登場人物として出してください。そのまま名称を使わないで、登場人物をその5役になぞらえてもOKです。
・どんな結末でも構いませんが、織姫のことは幸せにしてあげましょう。
・鵲の願い事と、それを叶えるために天の川が誓ったことを考えてください。
*上記を満たす、1000文字以上1レス以内(3000文字目安)のSSを書いてください
*何か質問などあれば上記URLまで。