【Act. ―1― 悪夢の遊戯は緋の薫り】
森の奥深くに、古い屋敷があった。屋敷の周りは黒い鉄格子で囲われ、様々な模様が刻まれている。
招待を受けてこの屋敷に来た私は、1人の少女と出会った。真っ白なドレスを身にまとった、14歳ほどにみえる少女。
彼女は、面白い話をしてくれた。
カツンという音を跳ねさせて廊下を歩く。ぎぃという音を軋ませて扉を開く。
白い人影と、黒い影が、わずかな隙間から滑り込む。
真夜中の図書室は、絶好の遊戯場。
さぁ、手を取り合って踊りましょう? ここは夜の闇。閉ざされた空間。
白い人影は、緋に染まる。甘い薫りが立ち込めて、あぁ、理性を麻痺させる。
鉄の味、虚ろな瞳。身も心も狂わせるほど、甘い果実。
1度口にしたら真夜中の遊戯からは逃れられない、禁断の戯れ。
さぁ、手を取り合って踊りましょう? 差し込む光。今宵は満月。
神聖な図書室で開かれる、真夜中の遊戯。誰かに見られてはいけない、秘密の遊び。
2つの影は、真夜中に現れ、真夜中に消える。朝日に人影が目覚め、影は眠りについた。
図書室に残された緋色の染みが、悪夢の名残り。白い柔肌に刻まれた印は、遊戯の名残り。
目覚めたその時、人影は――。
なぜ、彼女が私にこんな話をしたのかは分からない。ただの気まぐれかもしれないし、吸血鬼が現れるというこの森の噂を教えてくれたのかもしれない。
ただ、その話を聞き終えたあと首筋に視線を感じたのは、気のせいか。
あぁそういえば。――今夜は、満月だ。
第一回SS競作お題【悪夢の遊戯は緋の薫り】
投稿期間【7月1日まで】
お題条件
・上記の【Act. ―1― 】が物語の舞台です。これに続くような形で、SSを書いてください。
ただし、ここでの「私」は参加者1人1人を指します。私=自分、が少女から話を聞いたとしてください。
SSは三人称でも構いませんし、このまま一人称でも構いません。
・明記されていない設定(登場人物の容姿など)については自由です。また、上記の設定で使わないものがあっても構いませんし、条件から外れなければ付け足しても構いません。
・「今夜は、なんて綺麗な満月なのでしょう」という文章で終わってください。台詞でも地の文でも構いません。語り手の性別や口調で多少文末を変えるのは可とします。
・文中に「鏡」「牙」の2つの語句を使用してください。回数は問いません。
・登場人物は女性を2人出してください。年齢は問いません。女性が2人いれば、男性がいても、人数が多くても構いません。
・流血表現を使ってください。ただし、「血」という文字を使用してはいけません。
・テクノロジーは使わないでください。(携帯電話、インターネット、スマホ、テレビ…)
この条件を満たす1000文字以上、1レス以下のSSを書いてください。
*質問などあれば上記URLまで。