【原曲:悪ノ娘】
昔々あるところに 花粉大量な王国の
頂点に君臨するは 酷い花粉症の王女様
絢爛豪華な予防品 顔のよく似た青年騎士
愛用品の名はサージカル
花粉は全て敵とみなす
花粉に苦しむ者あれば
私のマスクを分け与えなさい
誰かに害する木があれば 粛清してしまえ
「さぁ、切り落としてしまいなさい」
スギヒノキ 花粉の木が 鮮やかに切り落とされて
周りの花粉出す木も 嗚呼 必要があらば全て斬る
花粉症王女が想うのは 海の向こうの幼馴染み
王子の彼も花粉症 それが此方に来るらしい
悩みに悩んだ王女様 ある日大臣を呼び出して
キメ顔をして言いました 「影響のある木を撲滅なさい」
幾多のスギが燃やされて 幾多のヒノキが消えていく
木達の苦しむ声などは彼女らには届かない
「あら、薬の時間だわ」
スギヒノキ 木こり達は 狂おしく切り落とす
とても聡明な彼女でも 嗚呼 自然の力には敵わない
家族を切られた悲しみに ついに木々達は進化する
暴走した彼らを率いるは 生き残った唯一のスギ
つもりにつもった木の怒り 国中の木を奮い立たす
長年の伐採に疲れた 木こりたちなど敵ではない
ついに王宮も囲まれて 家臣も巻かれ連れていかれた
可愛く秀麗な王女様 ついに捕らえられた
「この、無礼者!」
スギヒノキ 感極まる 王女を捕らえた喜びで
彼女のつくった楽園は 嗚呼 儚くも木に乗っ取られた
昔々あるところに 花粉大量な王国の
頂点に君臨してた 酷い花粉症の王女様
処刑の時間は午後三時 木に首閉められ落とされるらしい
王女と呼ばれたその人は 牢屋で一人呟いていた
ついにその時はやってきて
王女は上まで持ち上げられた
木々の笑い声を遮り 彼女はこう言った
「さぁ、切り落としてしまいましょう」
スギヒノキ 花粉の木が 鮮やかに切られていく
後に人々はこう語る 嗚呼 彼女らはまさに聡明な双子