「このデッキに友愛入れるから要らんカード選んでくれ」
この言葉がすべての始まりだった。私が友人に渡したのはマッド・デッド・ウッド式ヘヴィ・デス・メタル。水・闇の優秀な墓地肥やし手段で墓地に主要パーツを落とし、それをMDWで踏み倒すデッキ種だ。
このデッキは元々HDMを使いたくて作成したデッキであり、それなりに愛着もあった。しかし友人が発した言葉がこれである。
「このデッキって破壊神いる?」
絶句である。言葉が出なかった。破壊神を使いたくて作ったデッキなのに破壊神を抜けと遠回しに言われたのである。分かりやすくいうと「モルトNEXTというかデッキ種に超戦龍覇 モルトNEXTは必要ない」と言われているのと同義である。
私は友人にこう返す。
「流石にコンセプトを抜くのはちょっと....」
そして友人はこう返す。
「これロマノフサインしてた方が絶対強いって」
ファッ!?プランBであるロマノフサインの方が強いって?
ふざけるな!このデッキをなんだと思っている!破壊神だぞ!よく考えてから発言しろ!
私は生意気にもこんな事を思考してしまった。
結局私は、ボルメテウス・ホワイト・ドラゴン×1、リロード・チャージャー×1、マッド・デッド・ウッド×1、エマージェンシー・タイフーン×1、地獄門 デス・ゲート×1と引き換えに友愛の天秤×2、一なる部隊 イワシン×2、プラチナ・ワルスラS×1をこのデッキに加えた。
自分は解っていた。否、解っていたのに眼を背けていたんだ。HDMがリンクする前に敗けることを。HDMよりロマノフサインで殴ってる方が強いことを。デッキ内の文明配分をミスしていることを。解っていることから眼を背けていたんだ。私は今日一日で新たな思考へと行き着いた。「HDMはロマンデッキ、はっきりわかんだね。」
いつか私の資産力が増えたらHDMをGPやCSで優勝させてやりたい。GPやCSでなくてもいい、どこかの公認大会でも構わない。高速化が進む環境に、バイクや剣に見せ付けてやるんだ。
「破壊神」の驚異を。
速く無くとも強いと言うことを。
解っている事から眼を背けるのがいかに愚かかと言うことを。
奴等に見せ付けてやる。バイクや剣が地に伏せるその瞬間まで私はHDMを使うのを止めない。
皆様も一度、使うことを諦めていたカードを使ってみることをお勧めする。エグザイル・クリーチャー、6体神や創世神、白騎士や死神等、デュエル・マスターズには様々なロマンカードが存在する。
私はそのロマンカードを追い求める人間の一人に過ぎない。貴方も立ち上がれ、そして奴等に見せ付けてやりなさい。ロマンカードの脅威を。その性能を。
霧滝味噌ぎん著「解っていた事」より引用