東方キャラクターズ17 「秦こころ」  ( No.202 )
日時: 2018/11/17 19:42
名前: ダモクレイトス ◆MGHRd/ALSk (ID: G2HPMwNI)

*秦こころとは:ZUN(上海アリス幻樂団)制作の弾幕STG「東方Project」作品に登場するキャラクターである。初出は妖々夢。東方Project第13.5弾『東方心綺楼』が初出。

*設定

*種族 

 面霊気(付喪神)

*出演作品

 東方心綺楼(ラスボス・プレイヤーキャラ)、東方鈴奈庵(第10話「暗黒の伝統芸能 前編」、第11話「暗黒の伝統芸能 後編」)、東方深秘録・東方憑依華(プレイヤーキャラ)

*二つ名

 表情豊かなポーカーフェイス(心) 戦慄せよ!悪夢の能面女(深) 能面で感情的な面霊気(憑)

*能力

 感情を操る程度の能力

*テーマ曲
 
 亡失のエモーション


*概要

 東方Project第13.5弾『東方心綺楼』及び第14.5弾『東方深秘録』に登場するキャラクター。『東方心綺楼』のラスボス。以後もゲーム作品をはじめ各書籍作品等にも登場してる。

 多数の面を周りに浮かべた少女。これらの面は彼女の感情を司り、被った面によってその性格は様々に変化する。が、こころ自身の表情は全く動かず、例えば戦闘勝利時は勝利ポーズをとりながらも立ち絵ドット絵共に無表情であり、中々シュールな絵面である。しかし二つ名の通り台詞の方でははっきりと感情が出ており、狸や仏像の真似(表情だけ)をするなど子供っぽい節も見られる。無表情のままだが、泣く・汗をかくといったことはできる。

 面は66種類あるそうだが、主に喜怒哀楽のものが使われる。付けた面によって口調が変わるが、基本的に一人称は「私」。ただし面の集合体的な意識があるのか、ときどき「我々」になることがある。

 周囲の面以外にこれといった装備はないものの、戦闘においては面を操作した攻撃・光球状の弾幕・霊力で作ったと思しき青白い扇子や薙刀を披露している。心綺楼内では最終的に作中最強のキャラとなる。

 お面の付喪神故か能楽は趣味兼特技らしい。一輪から「能楽を見たい」という趣旨の発言を受けた時は嬉しそうな様子を見せていた。また博麗神社で能楽を披露し、参拝客を大きく増やすなどの功績も上げている。これらだけでなく暗黒能楽(「モンキーポゼッション」)なる奥義をちらつかせるなど、戦闘でも能楽に関連した攻撃を行う。



*東方心綺楼

 普段はただの静かな付喪神なのだが、面の1つである『希望の面』が失われ、能力が暴走。その結果幻想郷の人々から希望の感情が失われ、刹那的な快楽を求めるようになったことで『心綺楼』の騒動が発生した。

 感情が失われた丑三つ時、無表情の人間が里を徘徊する最終面で、希望(信仰)を集めてきたプレイヤーキャラクターから希望の面を奪うべく襲い掛かってくる。

 今回の異変の元凶なのだが、異変が起きたのは悪意からではなく希望の面の紛失が原因の不可抗力であったため、本人にとっては耐え難い状況であり、自分の過失を自分で鎮めようとしている。

 この時は暴走による影響下にあり、本来の安定した状態の彼女は感情がバランスを取り合い、何事にも興味を示さないひっそりとした付喪神らしい。しかし暴走状態のほうが人間くさいとも言え、本人も完全な状態となり物言わぬ道具に戻ることを恐れている節がある。

 本人は気づいていないが、実は希望の面は地割れの中に落としてしまっており、その後こいしが回収している。

*後日談

 新しい希望の面を手に入れた後は、マミゾウのアドバイスを受けて無表情だった自分自身に感情を身につけ能力を安定させるべく各地を回ることに。
 しかし最初に出会った一輪の発言の影響をモロに受けた結果、開口一番「私と最強の称号を賭けて闘え!」と言い放ち問答無用で相手に飛びかかっていくというどこぞの氷精のような行動をとるようになってしまった。アホの子キャラが定着しつつある布都からも「明るくなったが知性が落ちた気がする」などと言われる始末。

 以前に決闘の舞台となった各所を回り、そこで先述のような勇ましい文句とともに、かつて人々や妖怪を熱狂させた人物たちと華やかに大胆に、文字どおりの舞い踊る戦いを披露したため観戦者たちも以前宗教家たちの決闘を見ていた時のような熱さでこころたちの戦いを観戦している。
また、こころがすべての場所を回りきらないうちから追っかけのファンも付いている(文々。新聞、『心綺楼』)様子である他、こころ自身も決闘を楽しんでいた。
 そしてこの流れが徐々に後述の『心綺楼』以後の神楽ブームへと発展していった模様である。

 その中、人々の感情を乱していたのは宗教家達ではないかと気付き、霊夢、白蓮、神子の3人を感情を乱す元凶とみなし、3人まとめて襲いかかるという暴挙に出る。流石の霊夢も1対3という相手が不利になるような状況には抵抗感を感じ、1対1で戦わないかと提案するも、こころが「怖気づいたか」と提案を却下したため、結局3人で戦うことになった。

 その後はこころの精神安定のために博麗神社で能楽を始めた。
 当初は天狗の戯書である山怪散楽図にある「仮面喪心舞 暗黒能楽」を真似て舞っていた(マミゾウの想像では「 どこかでそれを見てふざけて真似しているだけ 」)ものの、人間の里の人間達には能楽自体が難しすぎて逆に不安になってくるとのことで、誰にでもわかりやすい演目になるようマミゾウとともに新たな演目を作り上げる。
 そこで東方心綺楼で繰り広げられた宗教大戦をモチーフにした新しい演目『心綺楼』を披露した。
 『心綺楼』は語り口調でわかりやすくまた滑稽なものであり、霊夢を始めとした実在の宗教家達を大袈裟にデフォルメした演技を見られる度に観客は笑いを漏らしたそうで、意味不明の伝統芸能から脱却した新しい能楽の先駆けとなった。

この奉納神楽は夏の間続き、神社の儲けにも繋がったという。

 いったん区切ります。

スカートが変態的ですね。 ( No.203 )
日時: 2018/11/17 19:46
名前: ダモクレイトス ◆MGHRd/ALSk (ID: G2HPMwNI)

 続きです。

*東方深秘録・東方憑依華

 様々な都市伝説の影響受けてしまい口裂け女に成り切ろうと、出会う人物全員に「アタシ、キレイ?」と聞いて回る。
 その結果、新たなオカルトボールを生み出してしまい、さらには自身を口裂け女だと思い込み始めてしまう。
 にとりのお陰で、面霊気だと思い出せたが完全には抜け切れておらず、しかも口裂け女の知識も中途半端だったため、今度からは質問しないで襲いかかろうという結論に至ってしまった。
 その最初の犠牲者がこの人だった。

 『憑依華』でも引き続き口裂け女の都市伝説とかかわりを持っており、本作ではにとりとの完全憑依コンビを通して他者の感情と相手のコンビの間にある感情の交流の様を鋭敏に察知するという能力を披露した。本人によれば、「 感情を理論的に覚えた結果 他人の感情が読めるようになった 」とのこと。例えばとある二人に共通するものとして「 脳みそ空っぽ気持ちいいぃぃ 」(原文ママ)といった感情があると分析している。人工での完全憑依の再現を目指すにとりにとって二者間の感情の共有というこころの知見と分析は役に立つものだった。
 一方で神子からは「 精神的に油断していそうな奴 」と評される場面もある。通りがかりに完全憑依されたりと、とばっちりをうけることも。



*各書籍作品

 こころは複数の書籍作品でもその登場が見られており、先述の『心綺楼』以後の博麗神社での奉納神楽は『東方鈴奈庵』でも関連エピソードが語られている。櫓など特別に設定された場所で踊るばかりでなく人々の集いがあれば往来でも扇を広げるなどのポーズをとることもある様子も描かれており、例えば『東方茨歌仙』では博麗神社のお祭りにこころの姿を見ることができる。

 またこころは先の異変以後も新たな演目を生み出しており、例えば「文々春新報」(創刊号)は「 現代暗黒能楽の最新作 」として「 恋する人形焼き 」が公開されたことを紹介している(『東方文果真報』)。この演目は自身を構成する「 六十六のお面 」から選りすぐった「 四十八 」の面による「 KKR48 」というユニットによって披露される。お面も各々リボンや花冠、星やハートのマークなどで飾り付けられている。
 文々春新報は演目の心を震わせるストーリー展開とそれを表現するこころの無表情さの対比に触れつつ、公演を絶賛している。
 この際「 撮影 」されたと思われる同誌面掲載のこころの写真では、実際の『文果真報』が発表された2017年当時に人気を博したとあるダンスを彷彿とさせるポーズがみられている。もちろん無表情。だが誌面の通り、それ故の奥深さがある。



*容姿

 夜目では薄紫色がかって見えるピンク色のロングヘアに、同じ色の瞳と睫毛。
 服装は青のチェック柄の上着に長いバルーンスカート。上着には胸元に桃色のリボン、前面に赤の星、黄の丸、緑の三角、紫のバツのボタンが付いている。ちなみに、登場時のモーションでは、この上着がめくれてへそチラしていることがわかる。
 スカートを囲む顔のような模様は穴になっており、よく見ると足が覗いている。また靴には左右で違う色のリボンが付いている。
立ち絵では常に面を顔からずらして着用しており、着けている面からは常に赤の面紐がなびいている(結んではいない)。

*面

 立ち絵では能面を付け替えながら会話しており、その時に被っているものに対応して口調が変化している。戦闘中は3つの面が周囲に浮いている他、技によっては獅子舞の獅子頭や赤頭の付いた「顰」なども用いる。

*種類
女 平静なとき。落ち着いた口調。
福の神/翁 嬉しいとき(喜)。フレンドリーな口調。二つの面の差異は不明
般若 腹立たしいとき(怒)。語尾に「!」が付く荒々しい口調。
姥 悲しいとき(哀)。よく「・・・」が挟まる弱々しい口調。
火男 陽気なとき(楽)。語尾に「♪」が付くことがある。肘鉄を喰らわす時もこの面らしい・・・。
猿 困ったとき。
大飛出 驚いたとき。
狐 真剣なとき。やや尊大でシリアスな口調。
蝉丸 泣いている時。口調は不明。少し割れていて、額部分に絆創膏が貼られている。
狸 悪徳詐欺をするときの表情。画像は存在せずマミゾウのセリフより。
これらの面も含めて全部で66種類あるそうだが、周囲に浮いている面の中に天狗面や、も確認できる。

*スカートの色

 『心綺楼』Ver1.20にて対戦キャラクターとして使用可能になった際、特技「変幻自在の感情移入」により各スキルカード使用時に対応する感情に合わせてスカートの色が変化するようになった。
 初期状態及び感情解除時には桃色、感情「喜」時は緑色(=道教)、「憂」時は青色(=神道)、「怒」時は暗い赤色(=仏教)となる。



スキルカード
吼怒の妖狐面

狐の面を被り、狐型の霊気を纏って突進する。

怒声の大蜘蛛面
赤頭の付いた顰を被り、両手から糸を出し、相手を拘束する。
憂嘆の長壁面
泥眼の面が周囲に現れ、敵意あるものに襲いかかる。
憂心の鬼婆面
生成の面を放ち待機させる。呼び戻しの際、経路上の相手を攻撃しながら戻る。
歓喜の獅子面
獅子頭を被り、口から炎を吐く。
狂喜の火男面
火男の面を被り、扇を構えて踊りだす。喜びの余り花火が打ち上がる。
こころのルーレット
面を装着して自らの感情を変化させる。
美的カウンター
1ラウンドに一回だけ使えるカウンター攻撃

 一旦区切ります。

Re: 私室 ( No.204 )
日時: 2018/11/17 19:49
名前: ダモクレイトス ◆MGHRd/ALSk (ID: G2HPMwNI)

 続きです。


*スペルカード

ストーリーモードCPU専用
憂符「憂き世は憂しの小車」

 霊気を纏った姥の面を夢想封印のようにして相手めがけ放つ技。

喜符「昂揚の神楽獅子」
 
 獅子頭を被り、口から凄まじい勢いの炎を発射して攻撃する技。炎と共に周囲に火炎弾も撒き散らす。

怒符「怒れる忌狼の面」

 狼状の霊気を体に纏い、相手めがけ何度も急降下の体当たりをかまして攻撃する技。

「モンキーポゼッション」

 ラストスペル。発動後すぐに画面中央に素早く移動し、その後踊りながら周囲に大型のエネルギー弾を放って攻撃する。

口裂けの感情

 面をまき散らしながら姿を消し、面が集まった場所に姿をあらわす弾幕。


*プレイヤー専用

怒面「怒れる忌狼の面」

 狼状の霊気を体に纏い、感情任せに相手に突進をかます技。『怒符』の方の忌狼の面とは違って急降下の体当たりでは無く、操作が出来る。

憂面「杞人地を憂う」

 お面を相手に放ち、その後霊気を纏ったお面が下から上へと激しく流れていき、相手をその流れに飲み込んで攻撃する技。

*憑依「喜怒哀楽ポゼッション」

 感情の波動を周囲に放って攻撃する技。精神をかき乱す効果があり、喰らうとこころの特技ケージの状態(喜・憂・怒)によって勝手に移動する、歩きがダッシュになるなど異なった状態異常が発生する。

「仮面喪心舞_暗黒能楽」

 ラストワード。能楽を舞うようにして相手を叩きのめし、最後に薙刀でとどめの一撃を加える。

これでもアタシ、キレイよね?

 怪ラストワード。黒いオーラ的な何かを対戦相手にぶつけ、身につけたマスクを取り払って現れた素顔(正確には般若の面。)に相手は恐れおののきダメージを受ける。

 スペルブレイクした際には周りの面が全て吹っ飛び、頭を抱える仕草をする。

*由来

 「面霊気」とは付喪神の一種で、江戸時代の鳥山石燕による「百器徒然袋」に登場する妖怪。
聖徳太子の時代、豪族の秦河勝によって作られた面から生まれたものだという。
 河勝は「日本書紀」において「常世神」を崇める宗教団体を討伐したことで「神の中の神」と畏れられたという逸話がある。
 また芸能の祖とされた人物であり、面の結び紐を締めておらず、長く垂らしているのは「百器徒然袋」の描写と同様。
 室町時代の能楽の大家である世阿弥の著書「風姿花伝」では、河勝は太子から六十六の自作の面を与えられたとあり、実際には聖徳太子の面の妖怪ということになるが…?
 そして、ついに東方天空璋で秦河勝と同一視されている摩多羅神である、摩多羅隠岐奈が登場した。彼女の台詞やスペルカードでも、秦河勝や暗黒能楽に触れている。

 小傘やメディスンと同じ付喪神であるが、投棄物の付喪神である彼女らと違い、こころの面は前述の通り神楽という一種の呪術に利用された千数百年前の代物であり、しかも製作者の知名度まであるとなると、付喪神という概念からすればかなりのエリートであると考えられる。というか、これを超える付喪神はそれこそ国宝レベルの品物の付喪神でないとありえないだろう。

 それにしても飛鳥時代(7世紀)から室町時代(15世紀)を経て江戸時代(18世紀)に語られた妖怪ということは、つまり誕生までに1100年もの時間が経過しており、さらに300年後の現代にも彼女がいるのである。なんとも歴史の壮大さを感じさせるキャラクターである。