シークレットガーデン「箱庭」
<序章>出会いと別れ
女神歴:625年 食料不足問題時代
とある寂れた村に白銀の髪の色をした兄妹が暮らしていました。兄の名前はルシア。妹名前はヨナ。彼らには両親がいない。ルシアが幼い頃突如としていなくなってしまいました。
それから兄妹は仲良く強力して慎ましく暮らしてたある日。狩りを終えたルシアが見たのは、森を徘徊するヨナの姿。
そして突然現れた魔方陣から召喚されたバケモノたちと一緒に現れた謎の少女ランファ。
ランファは背中に背負っていた自分の背丈よりもはるかに大きい剣を振り回りバケモノたちを一匹残らず退治しました。
助けてくれたお礼を言おうとしていると、「たすけてー」とヨナの助けを求める声が聞こえてきました。見てみると紅き鎧を身にまとった者がヨナを肩に抱きかかえ石の神殿と呼ばれる場所へ入って行くところでした。
ルシアは止めに入るランファの忠告を無視して石の神殿最上階へと駆け走ります。
最上階には二体の巨大な顔に小さな手足の巨大なロボットとその先にある祭壇に横たわるヨナとその傍に連れ去った犯人の後ろ姿がありました。
まずは護りのロボット二体との戦闘。
「ぐはっ」野生の獣としか戦った事のない少年に、本物の戦闘は無理な事でした。窮地に追い込まれるルシア。
(死んでたまるかぁぁぁぁああ!! ヨナは僕が――俺が助けるんだあぁぁあああ!!)
「うおおん」とルシアの中に眠る獣が目覚めた瞬間でした。まるで赤子でも相手にするが如く、二体のロボットを粉砕しただの瓦礫と化せにじりにじりと紅き鎧の者へと近づいてゆきます。
振り返った奴の顔は般若の面で隠されていました。手荷物武器は鉈と槍。その出で立ちは騎士のようにも見えました。誇りなどなさそうですが。
紅き鎧の騎士は無言で魔方陣を出現させ何か呪文を唱え始めます。魔術を発動させる場合、呪文を唱えるのにどんなに早くとも一秒はかかります。
ならその一秒の間に息の根を止めればいいと、ルシアは真正面から突っ込みます。
「だめぇぇぇぇえええ!!」
吹き抜けとなった天井の無い屋根から、入口で別れたはずのランファが現れルシアの前に立ち彼の代わりに
「愚かな」
「きゃああああああ」
「ランファァァァァ」
紅き鎧の騎士の攻撃を直撃しました。辺りは白い閃光に包まれ何も見えません。
「………我らの王のために」
最後にそう呟くと紅き鎧の騎士はヨナを抱えて何処か遠くへ瞬間移動魔法使い消え去りました。
――全てが終わりました。何もかも全てが終わりました。