Re: [雑談でも」自称ゲーマーさんの創作部屋 ( No.51 )
日時: 2017/10/12 10:16
名前: 雪姫 ◆dh1wcSF7ak (ID: a97s1/WY)

シークレットガーデン「箱庭」


<第一章> 物静かな看護師の闇(荒くれ者 ザンク編)

目覚めたルシアは決める。攫われた妹 ヨナを探す旅に出ることを――。
その決意を恩人ランファに告げる。旅立つ準備をしながら。ランファは「あたしも連れってって」と言い駄目だと、連れて行けないとどんなに断っても頑なに言う事を聞かない。
「もう二度とあんな暗黒の未来になんてさせない」彼女がぼそりと呟いた一言。彼女もまた譲れない信念をもって行動しているのだ。ルシアはまだ知らない修羅場を乗り越えて此処にいるのだ。

ルシアとランファのコンビが最初に辿り着いた町は隣町。ルシア暮らす村から片道二日はかかる場所にある隣町。別名商人の町。沢山の行商人で賑わい色々な物が取引されているから。
この町でヨナを攫った犯人、般若の面を付けた紅き鎧の騎士について情報収集をしようと思って矢先の事だった――幼馴染少女が森へ薬草を取りに行ったきり帰って来ない事を聞いたのは。

南の森。厳かな春の空気に包まれた森で動植物が生き生きとしている森、だった――ほんの少し前までは。
森の木々は腐り朽ち果て、小鳥の鳴き声はなく、無音の世界。
陽の光もほとんど差し込まない薄暗い森にあるのは坊主頭の赤子のような人形。軽く五メートルは超えていそうな大きな石で出来た人形。顔は不敵な笑みを浮かべ、右手の人差し指で北西を指さしランプを持ち、左手は腰に添えている。

森の案内人。人形の指さす方向へ歩けば目的の場所へ。人形の指さす方向を無視すれば永遠に森を彷徨う事となる。
目的地。そこはルシアの望んだ場所であり望んだ光景ではなかった。
「ギャハハハハッ」と狼の牙のような歯見せ高らかに笑う男に次々と殺されてゆく隣町に住んでいた娘達。
ランファは男に虐殺を止めるように言った。だがしかし男の返答はアルミサイルと呼ばれるあの人形たちを無数に――無限に召喚することだった。

戦闘が始まる。アルミサイルは人形。一体一体はそこまでの戦闘能力を持ってはいない。だが何分数が多い。疲労ばかりが溜まってゆく。
闘うルシアとランファを高みの見物で楽しむ男。そして現れる紅き鎧の騎士。
奴の存在に気が付いたルシアは躊躇なく襲いかかったが、容赦なく吹き飛ばされ森の果てへ。
紅き鎧の騎士はそんなの気にも留めずにルシアの幼馴染の少女 シレーナに"コア”と呼ばれるものを埋め込み「任務終了だ。戻るぞ」と瞬間移動魔法を唱え消えた。その場から一瞬で消え去った。


――隣町住んでいたの娘達を虐殺していた男の名はザンク。そしてザンクとの初戦闘はルシアの負けで終わった。