シークレットガーデン「箱庭」
第八章 からくり遺跡[女神の試練編 ]
女神が誕生した場所と言い伝えられている巨大な遺跡。大昔は寺院としても使われていた場所。
さすがは神が誕生した場所と言われるだけあって辺りは神々しい雰囲気包まれている。吸い込む空気が清らかで体の中にある毒素を綺麗にしてくれそうだ。
遺跡の中央付近にまで辿り着くと謎の女性の声が頭の中に直接語り掛けてきた声は言う。
――この先。奥へ進みたいのならば試練を受けなさい。
[勇気の試練][知恵の試練][力の試練]どの試練を受けるのかはあなた(読者様)の自由
ただし誤った選択をすれば あなたの物語は終焉を迎えることになるでしょう――と。
[勇気の試練]
仲間達と相談しルシアが選んだのは勇気の試練。謎の声は五つある祠堂の中でも一番大きな祠堂へ向かうように勧めた。雫のような水色の模様が描かれた扉が誰も手をかけていないのに自動的に内側へ開き、ブラックホールのような吸引力をもった黒と白と藍と色々な色が混ざったような、漆黒の宇宙のような渦がルシア達をぺろりと飲み込むんだ。
祠堂の中は漆黒の宇宙のような闇が支配した世界だ。音も光もなにもない静寂な世界。「――ようこそ終焉の世界へ」と声をかけてきたのは火山灰を被ったような髪色をした二十代後半から三十代前半くらいの見た目をしら執事風の男。男は提案する「――ひとつゲームをしましょう」パチンと指を擦り音を鳴らすと辺りが明るくなり祠堂の全貌が明らかになる。ルシアの目の前には巨大な天秤。右側には鳥籠に入れられた仲間たち、左側には血まみれで虫の息となっているリオンの姿があった。男はルシアに問う「どちらを助けますか」何処からともなく溢れ出る大量の水、リオンを助ければ仲間たちは溢れる水で溺れ死に、仲間たちを助ければリオンが溺れ死ぬ。「英雄の刺客を持つあなたに問いましょう。たった一人の友人の命を救う為に仲間を、全を見捨て殺すのか――仲間の命を救うために友人を、個を犠牲とし殺すのか。選んでください」一か全か。救うべき命を選ぶデスゲーム。どちらも択ばなければ両方が死ぬだけだと男は微笑みを崩さないまま――言った。
シークレットガーデン「箱庭」
第八章 からくり遺跡
[知恵の試練]
仲間達と相談しルシアが選んだのは知恵の試練。謎の声は五つある祠堂の中で一番左にある祠堂へ行くように勧めた。緑色の風になびく木の葉が描かれた扉は誰も手をかけていないのに自動的に開きルシア達をその中へと招き入れる。「――あてしょんぷりーず♪ ヨウコソ知恵の試練へ~~~きゃはは♪」中へ入ったルシア達を出迎えたのは幼い子供、幼女を思わせる無邪気な声だった。真っ直ぐ奥へと延びる通路、壁には子供の落書きだと思われる絵が壁一面に描かれていた。声は言う。「アタシが出すモンダイを全部コタエテねっきゃっはは♪」全て正解することに重点をおくのではなく、全て答える事を重要点にしていることが気はなるがここは声のいう通り、従うことにした。
最後の問題はリティへの質問攻め。過去の記憶を持たない彼女への質問は忘れてしまった過去の事について。リティは答えられないでいる。答えられなければ手に持ったリボルバーに弾薬が装填そうちゃくされる。弾数は全部で六発分。もうすでに五発分セットされてしまっているこの状況でやってきてしまった最後の質問。
「あなたの手によって――殺された。あなたにはもう愛するは家族はいない」
[嘘]
そんなの嘘に決まってる。さっき見えたモノがなんだったのかは分からない。
本当の家族とか記憶を失っている私に分かるわけない。
でも一つだけ確かなことがある。分かることがあるわ。
リオン。そしてリア。この二人は私の大切な友人であると同時に幼い頃からずっと一緒に育ってきた大事な家族も同然の存在。
彼らが居る限り、私は一人じゃない。家族は――いる! 六分の一の確率に賭けることにするわっ!
その質問の答えは嘘であると思ったリティは引き金に指をかけゆっくりと "それ"を引いた。――パァァァァァンッ!!! 祠堂内に響き渡る一発の銃声と「リティィィィィィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!」祠堂内に響き渡る愛する者を失ったリアの嘆きの叫び声。スローモーションのようにゆっくり倒れ行くリティを受け止めたリアは大粒の涙を流し彼女を蘇生させようと頑張った――どうんなに回復魔法をかけてもなにをしてももう無駄な事――即死だったから。
[本当]
リティはゆっくりとリボルバーを持っていた腕を下へおろした。諦めたのだ。考えることを。生きることを。死を選んだリティをリアが優しく後ろから抱きしめ耳元で囁くように「もうわかっているんだろ?」その言葉を聞くとまるで欠けたパズルのピースがカチリッとはまるかのように、心にぽっかりと空いた穴が埋まった。
あぁそうか――そうだよね。私達ずっと一緒に居たものね。
リオンとリアと私の三人。年齢もバラバラで性格もバラバラで顔を合わせればいっつも喧嘩になっちゃう。そんな私達だったのに何故かいつも息ピッタリで一緒に行動していたわよね。話すことは喧嘩ばかりだったけど。
楽しかった…。すっごく。嫌な事全部忘れられる暮らしにずっこく楽しかった。楽しいからこそこの時間が終わるのが怖かった。
大きくなるにつれて少しずつ思い出されていく記憶。亡くしたはずの恐怖。封印したはずの忌まわしい過去。
それを大好きな人たちに知られるのがすごく怖かった。だから私は逃げたの。リリアン達の隠れ里へ。あそこならもう怖い思いをしなくていいから、みんな同類だから。
でも、もうそれもお終いね。前を向いて歩き始めなければいけない時が来たんだね。
ありがとう――リア。
リティはもう一度、リボルバーの銃口を頭に当て瞼閉じた。
これはある女性の物語。
彼女の愛する家族はもうこの世界の何処にも存在しない。そして血で汚れてしまった彼女の手はもう綺麗にはならない。
幼い頃、父親と自分と妹を捨てて家を出て行った母親。
幼い頃、突然現れた人攫いの屈強の男達。幼子にはどうする事も出来ず攫われてしまった。
幼い頃、自分を攫って行った犯人のボスはまさかの母親だった。マフィアのボスと再婚し地に落ちた母。
幼い頃、再開した母親は別人になっていた。護るため。自分の身を護り此処から逃げる為
幼い頃、初めて握ったナイフで料理をしました。肉料理です。
幼い頃、お肉は何度も刺すことで柔らかくなると誰かから聞いた事がありました。
幼い頃、初めてやった料理は失敗してしまいました。出来たのは肉塊。お肉の塊でした。
幼い頃、雪白の騎士だったリオンの父親に拾われました。
―そして今日まで至るそうです。オワリ。
知恵の試練-終