Re: [雑談でも」自称ゲーマーさんの創作部屋 ( No.58 )
日時: 2017/10/18 09:58
名前: 雪姫 ◆dh1wcSF7ak (ID: 01ncc5II)

[仲間]

苦渋の選択。仲間か友人の家族か。どちらか片方の命しか救えず、どちらか片方の命を殺さなければならない。そんな中でルシアが出した選択はここまで苦楽を共にしてきた仲間たちだった。
「うそ……でしょ?」大切な幼馴染が水の奥深くへ沈んでいくその姿をまじまじと見つめリティが吐いた一言。絶望に打ちひしがれた者の言葉。
たったひとつの選択で、選ばれた命。失われた命。
虚構を見つめるルシアにシュヴァルツァーはそっと耳元で囁いた「貴方はとても賢い選択をしました――だってあの青年はもう死んでいるのですから」嘲りシュヴァルツァーその場から消え去った。
助けた仲間達にからルシアに贈られたのは感謝の言葉でも温かい抱擁でもなく、罵倒でも罵詈雑言でもなかった。ただ――パァン!! 一発の銃声だった。
「あんたが悪いんだから」地面に横たわったルシアを蔑んだ瞳で見つめリティが吐き捨てる――怒りと悲しみ、後悔の念に囚われた哀れな娘によって友人を殺した殺人者は消去(デリート)された。

勇気の試練-終 生贄end

[友人]

ルシアはその場に立ち尽くしていた。どうすればいいのか分からなくて。
――考えろ。考えろ考えろ。考えろ考えろ考えろ。考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろ考えろといくら考えたところでなにも浮かばない。いい案なんてそもそもないのだから浮かぶわけがないのだ。
こうして考えている間にもどんどん水嵩が増えもう完全に沈むまで数分といったところ。このままじゃ両方「――リオンを助けてやってくれ!」悩みに悩んでいたルシアに答えを授けたのはリアだった。自分達の事は自分でなんとかするから、こんな所から逃げ出すのなんてお茶の子さいさいだ、いつものようにふざけ笑いながら――水の中へと沈んでいった。ルシアがそう選択したから。
「そんなに会いたいのなら合わせてあげますよ」水から上げられた鳥籠からは目を見開き逃げようと必死にもがき苦しんだ表情で固まり絶命した仲間たちの

                     ――死体だった。


「特異点を殺してしまうなんて、なんと勿体ない」高等部になにか丸い筒状のものを突き付けられる感触。振り返らなくても分かる。カチャリと鳴ったそれは発射準備完了の合図――パァン!! 一発の銃声がルシアの頭蓋骨を貫通した。





勇気の試練-終 見損ないend