Re: [雑談でも」自称ゲーマーさんの創作部屋 ( No.68 )
日時: 2017/10/28 21:33
名前: 雪姫 ◆dh1wcSF7ak (ID: 5HgyhMMA)

シークレットガーデン「箱庭」


<第一章> 物静かな看護師の闇(シレーナの封じた過去編)

南の森にてザンクとの激闘に敗北はしたものの無事にヒュムノスの娘達を救ったルシア達が隣町へ帰還すると、出迎えたのは町の住人総出の感謝の言葉だった。
助けたフュムノスの娘達、その家族からの強い勧めから、ルシアへの感謝を捧げる感謝祭を開くこととなった。
寂れた村の片隅でひっそりとヨナと二人で暮らしていたルシアにとってこんな賑やかなお祭りは初めての体験。どうすればいいのか全く分からない。どう喜びを表現すればいいのか分からないのだ。
そんなの関係ないと祭りはどんどん盛り上がってゆき、一番のメインイベントである助けられたヒュムノスの娘達の妖艶なる華麗なるダンスステージが始まった。
ヒューヒューと桃色の歓声が飛び交う中を舞うように踊るフュムノス娘達の姿に誰しもが時を忘れ酔いしれていたその時だった――「うっ」突如としてシレーナが喉を両手でつかみ苦しそうなうめき声をあげてその場に倒れたのだ。桃色の歓声は一気に藍色の悲鳴へと変化した。
――病状は最悪だった。
不治の病と呼ばれる闇病。突如として流行り始めたこの病にかかると時間をかけてゆっくりと体が腐敗してゆき最終的には、人ならざる化け物へと変貌してしまうのだ。治療方法はもちろんない――死を待つしかないと医者は匙を投げた。
諦めた。この場に居た誰しもが諦めていた。もうシレーナは助からないと、だがただ一人 ランファだけは諦めてはいなかった。いや諦めていないというより、彼女だけが知っていたの方が合っているだろう。世界にただ一つだけ存在するといわれる、闇病を治療するための方法を。
その方法は口にすれば至って簡単なこと。
――病人の心の中に入り 心を蔽う闇を祓えばいいのだ。
ランファはポンチョの下に隠していたショルダーバッグから水色の綺麗な石を取り出すと、その石をルシアへそっと近づけた途端ルシアの体は音もなく石の中へと吸い込まれていった。