Re: 賞賛を添へて、【小説練習】 ( No.79 )
日時: 2018/01/18 21:49
名前: 奈由 (ID: IhjUQN9o)

(投稿させていただきます!)

「問おう、君の勇気を」


学校の屋上、柵を越えた先、後数歩踏み出せば空へと落ちる場所。
そこに1人の少女が立って居た。
長く無造作な髪の毛、腕に見える傷、夏に不似合いなカーディガン。
誰もが分かる。彼女は自殺しようとしている。目線の先は森。

彼女は一歩踏み出し、次の一歩を空中にだ──
せなかった。

彼女の後ろにある柵、のところに立つ少年、彼が彼女を引き止めた。

「勝手に死ぬな、先に、先に俺に死なせてくれよ」

「あなたには、死ぬ勇気があると?」

「は?なけりゃこんなとこには来ないだろ?」

「死ぬのが怖い、だから私を止めた」

「違う?」

「それは……」

「最後に問おう、君の勇気を」

彼女はそう言ってかすかに笑い、森へと落ちた。

鈍い音がした。

それを見た少年は思った。

俺には、理由がないんじゃないだろうか。
自殺する理由が。
だから、勇気がないんじゃないか。
君の、いうとうりだったんじゃないだろうか。
死んだであろう君の問いに、せめて、答えなければいけないのではないのだろうか。

彼は柵を越え、言った。

「きっと、どこかにある。」

森に向かってなんぼか踏み出し、落ちた。

鈍い音がした。

♢ ♢ ♢

「みー、これ、うまくできたと思うんだけど、どう?」

「ああ、短編のお話だっけ、いいと思うよ。私は好き」

「やった!じゃあサイトに投稿、しよう、かな?」

「では、問おう、君の勇気を」

「ふっ」

『ははははは!』

「いや、何真似してんだし」

「え、面白くない?」