Re: 第7回 硝子玉を添へて、【小説練習】 ( No.240 )
日時: 2018/07/06 00:23 
名前: 霧滝味噌ぎん◆uVPbdvNTNM

そこにナマコが置いてあった。
青年がファミレスで頼んだ税込783円の如何にもファミレスらしいハンバーグ。だが、空腹の青年にとってそれは、世界三大珍味をも凌駕する「ご馳走」と言っても過言ではなかった。今か、今かと待ちわびていた青年の目の前に運ばれてきたのは「ナマコ」だった。
そうだ、これは夢なんだ。

青年は目を擦り、再び皿に目を落とす。そこにはナマコが置いてあった。

青年は頬を叩き、再び皿に目を落とす。そこにはナマコが置いてあった。


青年は焦りと空腹の限度を感じ、少し乱暴にメニューを取り、自分が見ていたページへと紙を捲る。
確かに青年は「特選豚肉ハンバーグ」を頼んでいたはず。恐らく店員の勘違いだろう、そう感じた青年は呼び出しベルに手を書けようとする。そこで青年に電撃走る___________

青年は自分が注文した方法を思い出した。注文を取ったのは「研修中」のバッジを付けた外国人。あまり日本語に慣れていない様子の外国人に対し、青年は「メニューを指差す」と言う方法で注文を行った。
否、違う、違う。青年は額に流れる汗を感じ、特選豚肉ハンバーグの「下」に目を落とす。

そこにあったのは「特選ナマコの刺身」だった。青年は怒った。自身の注文方法を、注文を取り違えた店員を、しかし青年にこの状況をどうにかする方法は無い。青年は諦めてナマコに箸を付け、醤油に軽く浸し口に運ぶ。


「美味い............」


そう呟いた青年は涙を流していた。


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始めまして、霧滝と言う者です。
短いものですが書かせていただきました。