*落書き
あの夏、向日葵は死んだ。
どこか遠いところで、みんな灼熱に殺された。
蝉の声すら聞こえない初夏の中、雨のそぼ降る道で涙を流したって、誰も気づきはしない。
2年前の夏に、多くの向日葵を殺した。平成が終わったら、私達は何になれるだろうかと笑った日々も、きっと死体になる。
あなたになりたかったんだっけ。そう確か、焦れてやまないあなたがいたんだよ。毎日恋焦がれて、苦しくて、形にした頃には気持ちが死んでいた。だから私にはあの頃の気持ちを思い出せない。本当の意味で、あの夏の向日葵は死んだのだ。
だったら、2年越しの残渣に果たして意味があるのか。もう思い出せない。猛暑の陽炎みたいに揺らめいていた情熱も、狂おしいほどのたうつ熱情も、なにも。
思い出せないまま、形にしたそれに果たして意味があるのか、私は知らない。
それでも、あなたが見てくれるならそれでいいと思ったんだ。君が笑ってくれるなら、あの日のたうった狂気も、浮かばれることだろう。
私は確かにその感情を愛していた。大切な、私の一部だった。もう形も思い出せない、名前も知らない感情に終止符が打たれることを、何処かでずっと期待していたはずだから。
4年経っても、まだ胸が痛い。一度壊れたものは二度と元通りにはならない。君は等に死んでいる。それを思い続けることの苦しさは、もう沢山だ。
私の両手一杯のあいを捧げます。弔いに意味はないと知っていても、誰よりもあいしていた私が捧げなければならないのだろうから。
あなたの欠片を、今も探している。