こんばんは。書いてみました。
丹花に紹介され、現れた女子生徒、雫月 焔。
彼女は、繊細な美しさのある容姿を持つ女の子であった。
紺色の髪はさらりとしていて直毛。まるで絹糸のよう。また、肌は透き通るように瑞々しく、頬だけがほんのりと赤みを帯びている。唇は大きすぎず小さすぎず、柔らかな桜色。
「雫月 焔ですわ」
化粧をしている感じはないのに睫毛は長く、まばたきする度、煌めきが散る。また、そんな長い睫毛に彩られた瞳は真っ黒だ。微かな傷も汚れもついていない宝石のような、真っ黒な瞳である。
「よろしくお願いします」
それに、先ほどの清起はかなり貧乳であったが、彼女はそうではない。巨乳と言えるほどの大きさではないものの、胸はそれなりにある。
そんな焔を前にして、枯淡はぶるぶると震える。
恐怖ゆえではない。武者震いでもない。ただ、素敵な女子を前にして平静を保つことに必死なだけだ。
「これが最終戦になります」
溢れる喜びを放出してしまわないよう努力する枯淡。彼がそんな風に戦っているとは知らず、丹花は淡々と進めていく。
「では、三試合目。呑道 枯淡VS雫月 焔。……開始!」
丹花が開始を告げた。
こうして、最終戦の幕が上がる。
最初は、枯淡から。
「い、行くぞ!」
「お待ちしていますわ」
枯淡の羽子板を握る手は震えていた。
その理由は、もちろん、目の前に美しい女性がいるということもあるだろう。慣れないことに動揺しているのだ。
しかし、理由はそれだけではない。
親友の半天が近くにいないこと、というのもあるはずだ。
いつもなら、緊張するような場面でも、彼と喋り合って気をまぎらわせていた。が、今はそれができない。
「おりゃ!」
震えを振り払い、枯淡はシャトルのようなものを打つ。
焔は構える。
その黒い瞳は、宙を舞うシャトルのようなものの動きをじっと捉えていた。
「はいっ」
羽子板を振る焔。
彼女の羽子板は、シャトルのようなものに確実に当たった。
「うわわっ」
返ってくるということを忘れていた枯淡は、対応しきれず、シャトルのようなものを落としてしまった。打ち返せず、いきなりの失点。
「やりました……!」
先制した焔は、胸の前で小さくガッツポーズをした。