こんばんは。書いてみました。
第十一章 十一回の終わり、十一回の始まり、十一回の敗北、十一回の勝利、十一回の戦闘、十一回の結果、十一回の希望、十一回の絶望、十一回の人生、十一回の、運命、十一回の転生、十二回目の今
多々良、三殊の二人は、静かに前へ進み続ける。
それはあまりにも長い道だった。
終わりなどないのではないか——そう不安になるほどに、長い道。
それでも、二人は歩く。
そんな道中、多々良が唐突に口を開いた。
「おい、奈緒」
何の前触れもなく名を呼ばれた三殊は、その地味な顔に戸惑いの色を滲ませながら、静かに返す。
「何だい?多々良くん?」
静寂の中、二人の足音と声だけが空気を揺らしている。
「こんなのをお前に問うのはおかしいとおもうが、それでも聞いてくれ」
多々良は淡々とした調子で続ける。
「お前は『前世』を信じるか?」
三殊は「コイツは一体何を言っているんだ?」と内心戸惑う。多々良が発した問いが、予想外のものだったからである。
いつもそういった類いの話をしている相手に問われたのなら分かる。だが、多々良とそういった話をしたことはないし、彼が話しているところも見たことがない。むしろ、彼はそういった話に一番関心がなさそうなくらいである。
だが、いきなり本心を言うのも気が引けるので、三殊は「いや」とだけ返答した。
すると多々良は述べる。
「そうか。それじゃあ、言うか。俺、実は前世の記憶があるんだ」
多々良の口から飛び出したまさかの発言に、三殊は思わず「はぁっ?」と言ってしまった。
前世の記憶?
何を言っているのか。
突然そんなことを言われて、理解できるわけがないではないか。
——それが、三殊の心。
「ま、そうなるよな。無理もない」
「よく分からないよ」
「だろうな。……聞いてくれないか、過去を」
言葉を交わしつつも、二人は歩き続ける。
「いいよ」
「そうか。ありがとう。じゃあ、聞いてくれ」
多々良はゆっくりと言う。
「俺と伊良部の——因縁の話を」