こんばんは。書いてみました。
多々良——警官になった白羅と、その先輩である共起——つまり伊良部。
それは、二人の、四度目の邂逅だった。
「最初出会った時は、正直、クゥロがまた現れたことに恐怖した」
「前に刺してきた人だもんね……」
多々良の前世語りに慣れてきた三殊は、段々、彼に共感できるようになってきた。今はもう、多々良の話すことすべてを、素直に真実だと受け入れることができる。
「あぁ。だが『今は違う!』と思い、二人の時間を作るよう試みた」
「二人の時間、かぁ……」
「そうだ。そこで俺は『クゥロ、お前を殺す』と宣言してやった」
だが、今の三殊には、四回目の結末も薄々見えてしまっている。
それだけに、複雑な心境だ。
悲しい結末であることを知りながらドラマを観るかのようである。
「勇ましいなぁ」
「俺は本気で殺るつもりだったからな」
「そっか。それは凄い」
三殊は「僕が多々良だったら、もう無理だ、と諦めていただろうな」と思った。
「だが、そう易々とくたばるあいつではなかった」
「だよねー……」
「あいつは静かに『僕の名前は沙汰だ』などとほざきやがった。しかも、余裕の微笑みでな」
三殊は内心「うわぁ……」と思う。
「そして、俺の額に拳銃を突きつけた」
つい渋い顔をしてしまう三殊。
予想はしていた展開だが、実際に聞くと、また特別な心苦しさがあった。
「あいつは『僕の計画を完璧に成功させるには、君は邪魔なんだ』と言って、拳銃を撃ちやがった」
多々良は悔しそうに話す。
「結果、額を撃たれて即死。これまた呆気ない死に方をしてしまったものだな、自分でも呆れる」
はぁ、と溜め息をつく多々良。
心境を上手く説明できず、黙り込む三殊。
二人だけの空間に沈黙が訪れる。
歩く二人の微かな足音以外に音はない。多々良も三殊も口を閉じているし、他の者がいるわけでもないから、音がないのは当然といえば当然なのだが。しかしそれにしても、ここまでの静けさというのは、異様な雰囲気を漂わせるものだ。
多々良が五回目について話し出すまで、その沈黙は続いた。