>>492
うちはなぜか「さかむけ」ですー。
こんばんは。書いてみました。
長い沈黙の後、多々良は五回目の人生について話し出す。
「五回目の人生、俺は、太陽ヶ原(たいようがはら) サンという十二歳の少女だった」
「女の子!?」
驚きの声をあげる三殊。
「あぁ。よく考えてみれば、これが初めての女だった」
「そ、そうなんだ……」
露骨に驚き過ぎるのも良くないて思い、三殊は、平静を装ってそう返した。が、多々良が今のままの容姿で少女になっているところを想像してしまって、吐き気に襲われた。ちなみに、その原因は、女の子になった多々良が気持ち悪かったからではない。三殊が何となくイメージした少女風多々良の存在が、衝撃的過ぎたからである。
「初めて女に転生した俺は、『女って、こんなんなんだなぁ?』と思いながら、中学一年まで普通に暮らした」
「普通に暮らせたんだ……」
「俺が男だった頃の記憶を持っているなんてことは、誰も知らなかったからな」
「……そっか」
女子中学生の暮らしを満喫していた多々良——否、サン。
しかし、そんな彼女に転機が訪れる。
それは突如現れた妖精・フワリンとの出会いだったと、多々良は話す。
「フワリンって……ぷぷ」
「笑うなよ」
「あ……ごめん」
「いや、分かったならいい。気にするな」
その謎の妖精・フワリンは、サンを魔法少女にした。
「魔法、少女……?」
「あぁ」
「魔法少女って……漫画とかアニメに出てくるような?」
三殊の問いに多々良は頷く。
「そうだ。可愛らしいヒラヒラの衣装をまとい、魔法を使って敵を倒す。まさに、漫画やアニメに出てくるような『魔法少女』ってやつだ」
淡々と話す多々良を、三殊は信じられない思いで見つめた。
こんな身近に魔法少女の経験がある者——それも男子がいるとは、夢にも思わなかったから。
「それから俺は、魔法少女として、魔法で敵と戦い続けた」
「敵って……」
「色々いたが、なかなか強い奴が多かった」
三殊は動揺を隠せない。
「戦ったんだ……けど、戦いなんて怖くはなかったのかい?」
「いや、もちろん、怖いこともあったさ。だが、普通の女子中学生だったわけじゃないから、基本はそんなに怖くはなかったな」
魔法少女であった過去について話す多々良は、落ち着き払っていた。