こんばんは。書いてみました。
多々良——否、太陽ヶ原 サン。
彼女は、魔法少女として、戦いを続けていたらしい。
そうして何度も敵を倒していくうちに、サンは、同じ魔法少女がが黒幕であると知ったそうだ。
「黒幕なんてよく分かったね」
「戦いを繰り返していくうちに真実へ近づいていく。それはよくあることだろう」
「そっか……」
そのような経験のない三殊には、いまいち理解できなかった。
黒幕の魔法少女の名は、五月野 名月(さつきの めいつき)。
月がやたらとついた個性的な氏名だが、彼女こそが転生した伊良部だったのである。
互いの正体が発覚した後、サンと名月はお互いの姿に大笑いした。
だが、そこは仕方がない。なんせ、女性同士で顔を会わせるのは、この時が初めてだったのだから。
「あの時はさすがに笑ってしまった。懐かしいな」
「それは、まぁ……うん。お互い女性だなんて、笑ってしまうよね」
それは三殊にも理解できる。
少女になった知人男性を見たら、驚くとともに吹き出してしまうだろう——三殊はそう思った。
「だが、いつまでも笑っているほど暇ではないからな。しばらく笑ってから、速やかに笑いを止めて、全力での勝負を行うことにした」
多々良は淡々と語る。
そんな彼を、三殊はじっと見つめる。
「あれは凄まじい戦いだった。魔法の雨が降り注ぎ、血の湖が広がる……そんな戦いだった」
二人の全身全霊の攻撃がぶつかり、結果、あまりのエネルギーに街一個が崩壊したらしい。そして、サンも名月も、同士に息絶えたという話だ。
「街一個が崩壊って……信じられないエネルギーだね」
とても現実とは思えないことを言われ。しかし、今の三殊には、それが真実であると分かった。多々良の言葉を信じることができた。
「俺も、まさかあんなことになるとは、想像していなかった」
「だろうね」
「街のやつらには悪かったな」
「まぁ、仕方ないことだよ」
すると多々良は、三殊へ視線を向け、ほんの少しだけ口角を持ち上げる。
「そう言ってくれてありがとな」
多々良からいきなり礼を述べられた三殊は、何だか気恥ずかしくて、多々良から目を逸らす。少し、困ったような表情で。