最後の日に制覇致しますっ
お題④ 『さよならの意味。』
「なんで人ってさ、『さよなら』っていうんだろう。」
つい最近持った悩み。
さよならっていうよりも、『またね。』っていう方がいいじゃん。
でもその事を親友である照に聞いたら、彼女はこう答えた。
「まぁ、言い方も人によるじゃん!私だってさよならって言うよ?」
いつもと変わらないひだまりのような温かい笑みを私に向けた。
でも、何かが違った。
私がその質問を照に話してから、彼女の顔に、影があるような気がする。
にこにこ笑ってても、何か隠してるみたいな。
そう感じてから一ヶ月。夏になった。
登校に使う道も、蝉の声で煩くなった。
或る日、いつものように2人で通学路を歩いてた時に、事は起こった。
冷たい雨が降る日だった。
「ごめん!今日さ、弟のお迎え、私が行くことになっちゃってさ、一緒に帰れないの!」
「ううん、大丈夫だよ。じゃあまた明日ね。」
『さよなら。』
その会話が、彼女と交わした最後の言葉だった。
次の日に知った。
照が、家で親に殺された。
ずっと前から、虐待を受けていたことも、初めて知った。
あの言葉が、あの『さよなら』の言葉が、こういう意味をもたらしていたなんて、私は知らなかった。