お題⑧ 『視力検査』
「やだな、視力検査…………」
「ほらほら、浮かない顔しないのっ!るあ!」
私の大嫌いな視力検査が、今日の三時間目に迫っていた。
横で励ましてくれる深雪は、メガネを掛けていない。
そういう私は、三つ編みに丸メガネ。
地味、ってよく言われる。
声も小さいし、いっつも顔が暗い。
でも深雪は、小学校の頃から、明るくて、皆の人気者。
私はいつも、そんな深雪に憧れている。
「はーい、視力検査始めるぞー。」
出席番号順に呼ばれて、黒いスプーンみたいな物を左目に当てていく。
私は苗字が『石川』だから、出席番号が早い。
前の子の検査が終り、遂に私の番になった。
「次、石川。」
ぶっきらぼうに名前を呼ばれ、私は立ち上がった。
私は先にメガネを掛けた時の視力を先に測り、その後メガネを外して測る。
メガネ外す時が、私は一番嫌い。
「じゃあ、メガネ外し………………」
先生の声が止まった。周りの皆がざわめき出す。
「あれが、石川さんなの……?」
「…………なんできょとんとしてるのよ……メガネ無しの方が、美少女なの、るあが視力悪すぎて鏡で自分の顔見えないから、知らないのに……」