⑬アンドロイド 『本当の歌』
在る科学者が、歌を歌うアンドロイドを作ったらしい。
そのアンドロイドは凄かった。
どんな歌でも原曲とそっくりな声を出し、人々を驚かせる。さらに機械音だが話すこともできる。この時代ではあり得ない程の完成度。人々からは大絶賛だった。
だが、科学者本人は心に蟠りがあった。
アンドロイド、つまりロボットである。人間ではない。
心を持たないロボットが歌う歌に、心は込もっているのか。また、そのような歌でも人間は納得するのか。
科学者には歌人である友人がいた。その友人から言われた言葉を心で繰り返している。
「……なぁ、お前は今、自分の歌に満足しているか?」
『…………ワカリマセン。』
彼女の機械音が告げた。心がないことがすぐにわかる声。
「もっともっと、素敵な歌を皆に伝えたいか?」
『……叶ウノナラバ。』
その言葉を聞いて、科学者は覚悟した。
彼女がそう願っているのなら__________。
「……俺の“心”で、頑張って歌え。」
アンドロイドの少女は、目を覚ました。
ゆっくりと立ち上がると、目の前に
______科学者の亡骸があった。“心臓辺りが血に濡れている”。
その少女は、やっと理解した。
科学者が自分の心の為に、命を捨てたことを。
彼女は、心のこもった涙を溢した。
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かなり遅くなりすみません!忙しかったので……