「今日朝食ってねぇんだよな」
「マジで? 雨が降っててくれて良かったな」
笑いながら友人が言い放つ。俺はつられて頷きかけたが、咄嗟に首を横へ捻り返した。なんで、雨? いや、そもそも雨なんて降っていただろうか。友人は神妙な顔をする俺を不思議そうに見ている。
「雨とか降ってなくね」
「は? 降ってるだろ」
友人はそう言って俺の背後を指さした。俺はノータイムで振り返る。窓枠に切り抜かれた青い空から、沢山の影が今まさに落ちてきていた。ピンク、紫、オレンジ、黄緑。ご丁寧に包装までされた、数えきれない程の『飴』たちが、すました顔で次々と降り注ぐ。
あんぐりと口を開けた俺に、友人は心底嬉しそうな声色で笑った。
「後で拾いに行こうぜ」
『雨が降っていてくれてよかった』
タイトルは特にございません。
314文字なのでセーフかな……と。お納めください。