失礼しますっ。
こちらのスレでは初めまして、黒狐です。
前々から参加したいとは思っていたものの、中々アイデアなど決まらず……遅くなりましたがどうぞよろしくお願いします。
(感想・アドバイス大歓迎です! むしろ辛口でも拾っていきますので!)
▢◆▢◆
お題/⑳「愛されたいと願うことは、罪ですか」
作品名/神の微笑みを、たらふく。
――分かっている。
私が喧嘩の種を蒔いてしまったのは充分に理解しているのに。あの子はあの子で、冗談を見極められなかったのが悪いんだ、なんてへんてこな自分が現れてしまう。イラついてしまったなら、あの場で私を怒鳴ってくれたって良かったんだ、とか悪魔の化身が脳内に浮かぶ。
目から味気ない涙が垂れて、これにさえも腹が立つ。
「泣くなら、号泣が良かったのに。こんなの」
震えて、ガサガサな声が――あの時のリノみたいな声が、自室に響く。猫の足音だってはっきり聞こえてしまいそうだった部屋に。
なんでこんな思考なのかも知らないまま、目尻を毛布の端で静かに拭って。
▢◆▢◆
「リノはさ、男子と一緒に喋るの好きだよね。大人になったら二股……いや、三股くらいしちゃいそう」
本当に、冗談だったのに。ただのからかいだったのに。わざと大袈裟に笑って、彼女からの面白い返しを待っていたのに。
「そっか。ユイにワタシの事がそう言う風に見てたんだね」
悲しいのか、怒ってるのかが分からないけど、日本語がぐしゃぐしゃになった言葉を震えた声が私の耳を通り抜ける。「ごめんごめん。冗談だってば、もー」なんていつもはするりと口から出るのに、今日は出せなくなっている。肝心な時に、使い物にならない。
「ちがっ……違う……よ、嘘、だってば」
くるりと背を向けているリノに対して、笑顔で言ったつもりだった。いつもの、演技の泣き笑いで言ったつもりだった。
でも、実際は酷く荒んだ声。不安気な表情。
段々と声が小さく、低くなって行ってしまって、彼女の肩を掴む事すら出来なかった。もう、嫌われたくなかったから。
▢◆▢◆
「ばっかみたい」
ぽつん。
ひとりで、抱える。
よく「身近なひとに相談する事だって大切です」なんて言うけど、そんな簡単に相談できるなら自殺願望者なんていない。
でも、神様が微笑んでくれるかもしれないから、なんて思っちゃって、メールのアドレスを漁った。
お母さんじゃ、ない。幼馴染でも、ない。先生は、イヤ。
リノがいいや。でも、それじゃ意味ないや。
――あーあ。愛されたい。
枕に顔を押し付け、声を押し殺して泣く。情けない声が辺りに反響した。
無理難題とか、それ以前の問題だった。
別に、虐待に逢っている訳でも無いし、いじめられたりしている訳じゃない。私よりも大変なひとは沢山居る。でも、私には何か足りない。
――神様、かみさま、カミサマ。貴方様にもう少し愛されたかった。
今この状況よりも、と高望みをするのは罪、でしょうか。
(1041字/完)