さ、再チャレンジします………!
【毒に侵される神】
『ふぅん………君はしょぼいね。』
目の前にいる僕にそっくりな神が言った。
「………お前は何様だよ?」
『神様。』
「………ボケかますんじゃねぇよ。本当にお前は誰だよ。」
『さァ、誰だろうね?』
神は冷たく笑い、僕をじろじろと見る。
『お前、見た目しょぼいし、もうちょっと派手にできねぇのか?しかもそんな下ばっか向いてさ、死人みたいな顔してやんよォ?』
「うるさい。お前になんで僕がいろいろ言われなきゃなんないのさ。」
『神になりたてのおこちゃまだな。』
「黙れ………僕はこれから師匠から与えられた試練があるんだよ。」
『………あっそ。』
今は…………ちょっと休憩に洞窟に来たんだが。
ただ、今喋っている神は、僕にとっては僕の悪い所ばかり指図する“毒”だ。
言葉自体に毒が染み込んでいる。投げかけられるととても痛い、毒。
『まァ、人間上がりのくせにな。』
「………!てめぇ………」
神の中でも元人間の奴は落ちこぼれとみなされる。
僕だってさんざん馬鹿にされた。
そんな自分を変えたかった。
何故、人間上がりは落ちこぼれなのか。
何故、馬鹿にされるのか。
神は僕の心を読んだかのように言った。
『可能性は無限大だ。』
その瞬間、神の姿が割れた。
ぱりんっ、と。
破片が僕の足元に儚く散る。
「は………?」
その破片を手に取る。
「か、鏡………!?」
そうか、あいつ、ヤケに僕にそっくりだった。
つまり…………
「未来の、僕…………!」
毒はあいつじゃない。僕の弱い心だ。
僕の弱い心が、毒だったんだ………。
『可能性は無限大だ。』
可能性は、無限大…………!
あいつは、僕を罵りに来たんじゃない。
僕に自信を持たせに来てくれたんだ………。
ありがとう、僕。
僕は毒の張る洞窟から出た。
青空が手にある破片に映った。