【俺とあいつとそっくりな】(雨が降っていてくれてよかった)
「…………あ、雨。」
校門を出て気付いた。灰色の空から小さな雫が地面を叩きつけている。
まるで、あいつみたい。
『ねぇ晴竜。僕のこと、忘れないでよ。』
『忘れる訳、ねーだろ………!』
ポロポロと涙を流す俺。目の前には、俺と瓜二つの顔。
『泣くなよ。僕にそっくりな顔が、壊れちゃう。僕も泣いちゃうよぉ………』
忘れようと決めた顔が、雨の日には、絶対にでてくる。
その顔は、いつも泣いている。
「泣くなって言ったのは、何処の誰だよ………」
雨は何故か、地面には思いっきり叩きつけているのに、俺には、優しくあたる。
俺の肩を、とんとん叩いて、慰めるように。
「………お前、そんなに俺を慰めるんなら、実際に会えばいいじゃねぇかよ…………」
その雨は、何故か温かった。
雨が降る日は、雨竜と逢える、大切な日。