お題⑤「人って死んだら星になるんだよ」
『人って死んだら星になるんだよ。』
いつもそう言っていたけど君はずっと僕のことを無視して、金平糖を食べていた。
「星になる…………そんなこと絶対ありえないよ。人間は死んだら燃やされてお墓入り、でしょ?」
「いいや、絶対ありえるよ。」
それが原因で、ずっと喧嘩してた。
でも、ここは静かだから別にそんなことしてもいいだろうけど。
「それと似てるんだけど、金平糖ってさ、星の子供なんだって。近所の家のお馬さんが教えてくれたんだよ?」
今はお前の大好きな金平糖の話じゃないんだ。
そんな話、ただ見た目だけの話じゃねぇか。
「っていうか、もう夏か。じゃああいつらは逃げちゃうね。」
「逃げる理由はお前にある」
「夏ってことは、そろそろ私の出番だねぇ」
「見えにくい位置にいるだけだろ」
ダメだ。今日こそは伝えるんだ。
「…………なぁ、一つだけ言わせて貰う。」
「えっ何?」
『お前も元は人間だよ。“アンタレス”。』
「な…………!」
君____人間界でいうところのさそり座の一等星、アンタレスは、顔をしかめた。
「だから言っただろ?『人は死んだら星になる。』それはお前だよ。」
「………だからって、言わないでよ。私でも気付いていたんだから。“デネブ”。」
彼女が赤く見える理由。
それは、人として死んで今でも燃やされている、毒を持つさそりだから______。