【短編夏祭り】
「まだ、」
夏休みが終わってしまった。特になんの思い出もない。つくろうとも思わなかった。
誰にも会わない。会っても部活仲間だ。つまらない、閉塞的で、味もない。
だけど、夏が終わった訳じゃない。
あのアスファルトが滲むような暑さが終わった訳じゃない。
俺の、俺たちの「青春」が終わった訳じゃない。
今日もそうやって、代わり映えのしない日常を過ごしている。いつまでも感傷に浸れるわけじゃない。だから、この夏を全力で楽しんでやる。
まだ、俺は夏を満喫している。
明日はどんな「青春」を、限られた夏という季節で謳歌できるかな。