『春季パーティー参加』
【”晴れ雨男”の春人くん】
春生まれの春人くん。
彼は桜を思わせるふわっとした容姿を持っていて、誰からもモテていた。
それと、彼は晴れ男みたいな特性もある。
彼が楽しみにする行事の日には、決まって温かく柔らかい、綺麗な晴れ雨が降るのだ。
僕は、その晴れ雨が、好きで、好きで……―――気付けば、春人君のことも好きになっていた。
今度の日曜日は、春人くんの誕生日。
「あのっ……!」
ほかの女の子にいっぱい誘われてるのを知っていた。
自分は断られるだろうことも知っていた。
けど、僕は……―――勇気を振り絞って、言った。
「今度の日曜日、僕の家に来てくれませんか……!」
「うん、いいよ」
まさか承諾されるとは思ってなくて、それからずっと浮かれっぱなし。
……今度の日曜日、初めての恋を、初恋の人に告げる。
「……はぁ……」
緊張する……。
―――当日。
……ぜんっぜん、眠れなかった……!
えっと、約束の時間は十時半だから……片付けしてよう。
外に出て、約束の場所まで走る。……途中から、ぽつぽつと雨が降ってきた。
……少しだけ、日差しが覗く雨、が。
「春人くん……っ!」
彼が振り返ったときに、見計らったように雲が引いて……光が、春人くんにさして……。
「あ、ゆきくん」
綺麗な、晴れ雨が、春人くんを更にきれいにさせる。
「……好き、です!」
気付けば、言葉がこぼれていて、
「うん、俺も」
気付けば、そう返ってきていた。
「……ッ!」
今僕が泣くのは、悲しいからじゃない。
嬉しくて嬉しくて、たまらないから泣くんだ。
そう、まるで……―――晴れ雨のように。