彼岸くんが太宰さん(探偵社)を見つけた時の話。
太宰side
迂闊だった。
彼岸の執着心をなめていた。
「太宰……さん……」
あっさりと見つけられてしまった探偵社(かくれば)。
どうしたものかと頭を悩ませていると、不意に影が私に差し掛かった。
「よかった……太宰さん、いきてた……」
暖かく、細い腕の感覚と、ぽたぽたと降ってくる雫。
……泣いている。
泣きながら、私を抱きしめているのだ。
「……彼岸」
「よかった……よかった……」
全くこの子は……。
私はそんなにか弱い人間かい?
「彼岸、大丈夫だよ。大丈夫だから」
「ぐすっ……うぅ……」
……此処に来ても善いから、ポートマフィアには黙っておいてって、お願いしてみようかな?
-数日後-
―――コンコンッ。
探偵社の中に、小さくノック音が響く。
「ん? 何か依頼はあったか?」
「厭?」
国木田くんが立ち上がり、扉まで行く。
「なnォ゜ア」
国木田くんが間抜けな声を出す。本当に此れは面白すぎて忘れられない。
まぁでも流石に血塗れの人が立っていたらビビるよね。
「太宰さん」
そんな国木田くんを無視してフラァと私の所まで歩いてくる彼岸。
「凄い血塗れだね。もしかして疲れてる?」
「……頑張りました」
「うん、偉い」
「ちょぁ、待て太宰、そいつと如何云う関係なんだ?」
「えっとね、内緒。危害は加えないから安心して」