Re: 水が枯れた暁に……5【短編梅雨パーティ】 ( No.5 )
日時: 2022/05/26 21:15
名前: 謎の女剣士◆7W9NT64xD6 (ID: W0QwuHyk)

梅雨パーティ参加

【降り続く雨と大好きな想い人と】

ゲコゲコっ……… ゲコゲコっ………

「……………」

こんな酷い雨の中を、1匹の蛙が明日への道に向かって鳴いていた。
俺が通う大学を離れる前までは同じ講義を受けていたダイやポップと一緒に、雨の日々などについて語っていたりもしていたけど。
それから暫く後、ダイはマァムと……ポップはレオナと共に先に帰って行ってしまった。
最寄りの駅まではそう遠くないと思っていても、俺1人でそこまで歩く勇気その物がなかったんだ。

ポタポタポタっ………

「アイクさん!!」
「ゼルダ……ッ!!」
「良かった。まだ帰っていらっしゃらなくて、私はてっきりあなたは1人で帰ってしまったのだと勝手に思いこんでしまいましたわ…」
「気にするな。それに俺が先に帰ったら帰ったで絶対に連絡よこすだろ、あんた!」
「ふふっ!!」

そういえば今頃ダイやポップたちも、今の俺たちのように2人きりの時間になっている気がするな。
未だに鳴き続ける蛙の声に耳を傾けながらも、俺たちは日が暮れる前までに朝と同じ方角を歩いていたんだ。
すると今まで冷えてしまったとガタガタ震え出す隣の愛しい恋人を見て、俺はある行動に出た。

ぐいっ………

「……あ、アイクさん……?」
「……。少しだけでいいんだ、小雨になるまであんたを抱き締めさせて欲しい!」
「…………」
「……? ゼルダ……?」
「はい、あなたがそれを心から望むのでしたら……私は喜んで引き受けますわ!」
「……。こんなぶっきらぼうな俺を選んで、後で後悔すんじゃねぇぞ?」
「ふふっ、それはお互い様ですわ♪」

未だに降り続ける強い雨の中で、俺たちは1つの傘を手に取りながらもお互いの体温の温もりを感じ取っていた。
こうして誰の邪魔もなく、ゼルダと2人きりにしてくれたこの天気には感謝しなければならない。
徐々に時間が過ぎていく中で、未だに俺とゼルダがこの状態の中……先に帰っていた筈のダイたちに気付かれたのはそれから数分後の出来事その物だったけどな。

はい、2作目の投稿です。
今回は初のアイゼル編ですが、私自身が最後まで緊張してしまいました。
前回のこちらでの企画ではたったの1作品のみだったので、今回は何とか3作品を描くというノルマ達成を目指したいと思いますので宜しくお願いします。