梅雨パーティー参加
それぞれの雨
「ああもう!今日も雨⁉やんなるわね・・・。」
カーテンを開けたアスカは、もはやお決まりのセリフを吐き、湿気が嫌だの髪の毛のセットが大変になるだのグチグチ言いながら、朝の準備を始めた。
「しょうがないだろ、梅雨だし。でもセカンドインパクト前よりはマシらしいよ。」
シンジは顔はアスカに向けたものの、体は台所で洗い物をしたまま器用にアスカをなだめた。流石主夫。だが、その言葉にはどこかとげがあった。
「ま、人それぞれだもんねぇ。」
アスカもため息をつきながら言うが、その言葉には少し影がかかっていた。
アスカの場合
2004年。ユーロ支部にとある少女が呼ばれていた。
「惣流・アスカ・ラングレー。貴方を汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン正規実用型(先行量産型)弐号機のパイロットに任命する。」
アスカは支部長からの通告を静かに聞いていた。
「以上だ。出たまえ。」
「はい。わかりました。」
アスカは部屋を出たとたん、廊下を走り、支部病院のキョウコのいる病棟へと急いだ。
「ママ!私パイロットになれたわよ!人類を守るエリートパイロットなのよ!!」
アスカはキョウコの部屋を開け、勢い良く報告した。
が、キョウコは反応を示さず、身動きを取らなかった。
「ママ・・・?」
キョウコは自分だと思い込んでいる人形と心中していた。
外の雨がまるで自分の心に突き刺さるようだった。
シンジの場合
シンジは第三新東京市をさまよっていた。
nervから逃げて二日目。雨が降っているが、そんなものはシンジに関係なかった。
道が続いていない。どこかの峠に来たようだ。シンジはさくを乗り越え、座り込んだ。
峠から見える兵装ビル。神社と初号機が削ってしまった丘。こないだのことを思い出す。
シンジは目をつぶり、静かに泣いていた。
雨はひどくなるばかり。さすがのシンジも移動を始めた。
気づけば、トンネルの中にいた。何とか雨はしのげるが気持ちは晴れない。そして後ろには諜報部の影。抵抗してもつれていかれるだけ。もういいよ。
「・・・ミサトさんの所に連れて行ってください・・・。」
シンジは苦し紛れに言った。
二人の脳内にはそれぞれの雨が思い浮かんでいた。
終わり